クラウドコンピューティングの実現とNGNの役割:NGNが変えるワークスタイル(2/3 ページ)
クラウドコンピューティングというキーワードが最近注目を浴びている。消費者向け、企業向けともに形はあるが、仕組みを支えるインフラとしてNGNに注目してみたい。
企業向けのオンデマンドVPN
品質確保型(QOS型)の企業向けVPNサービスの中で注目すべきは、オンデマンド型だ。まだ機能や料金などは検討中のようだが、NGNのSIP機能を使い、相手先の回線番号を指定し、保証帯域の優先クラスをその都度指定し、必要なときだけ必要なぶんだけ帯域を確保するオンデマンドVPNサービスが提供されるようである。
中小企業が、オンデマンド型の品質確保型の企業向けVPNサービスを導入した場合の利用シーンの可能性を少し整理してみたい。
- 1. 通常の電子メールなどのインターネットの利用は、ベストエフォートで回線を利用する
- 2. グループウエア等のSaaSアプリケーションに、ITサービス基盤となるSDP(Service Delivery Platform)経由でセキュアにアクセスする
- 3. 拠点間の通信で勘定系などの重要度の高いシステムにおいては、帯域を最優先で確保し、安定した通信を確保する
- 4. 夜間のバッチ処理等が必要な場合には、夜間の一定時間だけ帯域を確保し、大容量のデータを送信する
- 5. 委託先などの取引企業とは、取引が必要なときだけ個別に通信路と帯域を確保する
通信とアプリケーション利用時のみに料金が発生する従量課金になれば、コスト削減効果にもつながる。多くの取引企業とエクストラネットとして取引が必要な時だけ接続することができれば、ビジネスの適用範囲の拡大にもつながる可能性がある。ベストエフォートとギャランティー型の通信をうまく使い分けながら、オンデマンド通信を活用していくことができれば、NGNは中小企業にとって親和性の高いサービスになる可能性は十分に考えられる。
ユニファイドコミュニケーション
中小企業の場合、総務や経理業務から営業まで一人で何役もこなさなければならない場合も多く、外出などで会社に社員が不在になるケースも考えられる。取引先やお客様との間で連絡をとりある機会を逃してしまったということもあるのではないだろうか。
NGNの普及により、携帯電話までオールIP化し、固定ネットワークと無線ネットワークの連携、いわゆるFMC(Fixed Mobile Convergence)が進み、ワンナンバーサービスとしての利用やプレゼンス情報(相手の状態)の確認などができるようになる。
そこで、あらかじめ相手先の現在の状況やプレゼンス情報を理解し、適切な行動、例えば電話はNGなのでメールを送信するといった働きかけ方を選ぶことで、ビジネスで効果的にコミュニケーションできる。取引先とのコンタクトの幅が広がり、効率的にビジネスを進めていくことができるであろう。
ユニファイドコミュニケーションは、クラウドコンピューティングの重要な要素の一つになるかもしれない。
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