米Yahoo!を援護射撃!? ―― Yahoo! JAPAN、新サービスに込めた心意気:Weekly Memo(2/2 ページ)
ヤフーが7月17日、インターネット広告の新サービスを発表した。日本法人の独自開発商品だが、「うまく行けば海外展開も」との心意気。買収騒動で揺れる米Yahoo!の援護射撃ともなるか!?
大事なのはYahoo!ブランド
このインタレストマッチ、確かにYahoo! JAPANだからこそ活かせる広告サービスである。その内容もさることながら、筆者は少し違うところに興味を抱いた。それは、「世界初」を強調していたことだ。なぜ興味を抱いたかというと、世界初が事実かどうかという話ではなく、そのアグレッシブな姿勢が米Yahoo!およびYahoo!ブランドに対するヤフー日本法人のメッセージであり、援護射撃のように思えたからだ。
米Yahoo!を巡る買収騒動の詳細については他稿に譲るが、ともかく8月1日に行われる同社の株主総会を経てみないと、どのように落ち着くのか予断を許さない。また、もし現経営陣がそのまま継続することになったとしても、米Yahoo!の経営は揺れ動き続けるだろう。
そう思っていたところへ先週末には、米Yahoo!がアジアで保有する資産の売却を検討していることが明らかになり、対象には同社が約33%出資しているヤフー日本法人の株式も含まれる可能性がある、との報道が流れた。結局、今のところ日本法人をはじめとして資産の具体的な内容には言及していない、とのことだが、この報道も米Yahoo!の“観測気球”の色合いが濃い。
つまり、あり得るかもしれないが、ヤフー日本法人の親会社は約40%を出資するソフトバンクで、もともと米Yahoo!からの独立性は高い。しかも検索などサービス利用者数では日米の構図が違って、日本ではヤフーがグーグルをリードしている。今後は米Yahoo!の思惑とともに、ソフトバンクがどう動くかも気になるところだ。
とはいえ、そうした状況がどうなろうと、はっきりしていることが1つある。それは、グローバルに通用するYahoo!ブランドをいかにして守り、あらためて成長させていくかだ。今回の新サービスは、ヤフー日本法人が投じた、そのための「世界初」ではないのか。また、とかくIT分野では“日本発”の技術・サービスが乏しいと言われるが、こんな形の“日本発”があってもいいのではないか。
井上社長は会見の最後に、「日本でうまく行けば海外展開も検討したい。そういう要望が(各国のYahoo!現地法人などから)出てくると思う」と力を込めて語った。その心意気や良し、と言いたい。
プロフィール
まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。
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