米国の景気停滞がオープンソース普及の追い風に――OSAの調査:Windowsとの相性を懸念
Open Solutions Allianceによると、最近の調査の結果、景気停滞が企業でのオープンソースソフトウェアの普及拡大につながっている可能性がある。ライセンス費用節約のためである。だがユーザーは、オープンソースソフトウェアとMicrosoft Windowsの相互運用性を不安に感じているようだ。
OSA(Open Solutions Alliance)では、メンバー企業およびそのほかのオープンソースソフトウェア/サービス企業を対象とした第1回年次調査の結果、景気停滞がオープンソースの普及拡大に貢献している可能性があることが示されたとしている。
100社余りのメンバー企業を対象としたOSAの調査では、83%の企業が、2008年にはオープンソース関連のソフトウェア/サービスの売り上げが昨年を上回る見通しだと答えた。
回答企業の約78%は、オープンソースソフトウェアが安価であることが、顧客の購入意欲を刺激していると述べている。
SpikeSourceで製品管理を担当するシニアディレクターで、OSAの会長を務めるドミニク・サートリオ氏は、「商用オープンソースソフトウェアとサービスの市場が急速に拡大している。これには現在の経済状況が貢献しているようだ。オープンソースの方がコストが低いからだ」とeWEEKに語った。
サートリオ氏によると、オープンソース企業各社が本気でコラボレーションを考えていることも、調査で明らかになったという。回答企業のほぼすべて(97%)が、ほかのオープンソースソフトウェア/サービス企業とアクティブな提携関係を結んでいると答えた。また調査で回答した平均的な企業は、そういった提携を10件ほど抱えているという。
「オープンソース企業にとってコラボレーションが重要なのは知っていたが、それでもこの数字は意外だった」と同氏は話す。
この調査では、回答企業の85%近くが、Microsoft Windows上で動作するか、あるいはMicrosoft製品と連携するオープンソース製品またはサービスを販売していると答えた。
「Microsoftは多数のオープンソース企業にとって重要なパートナーであり、今後はますますその傾向が強まるだろう」と話すのは、Unisysでオープンソースビジネスを担当する副社長兼ゼネラルマネジャーで、OSAの理事を務めるアンソニー・ゴールド氏だ。「企業はITリソースを最大限に活用する必要があり、Microsoftとオープンソースを組み合わせたハイブリッド環境がその要件に最適な選択肢であると考える企業が増えている」と同氏は言う。
今回のOSAの「Open-Source Market Survey」は、6月下旬に実施されたもので、オープンソースコミュニティーにとって興味深いテーマが取り上げられた。この調査では、回答したオープンソース企業の大多数(85%)が米国外でも事業を展開しており、そのうち58%が米国外でオープンソースの普及がさらに拡大するとみている。
また、回答企業の72%がSaaS(サービスとしてのソフトウェア)が自社のビジネス戦略の重要な部分であると答えている。
一方、回答企業の56%は、顧客がオープンソースアプリケーション間の相互運用性に不安を抱いていると答え、顧客はオープンソースとプロプライエタリなソリューションとの間の相互運用性に不安を感じているとした企業は79%だった。
OSAは、7月に開催されたO'Reilly Open Source Conventionで調査結果を発表した。調査報告の全文は、Open Solutions AllianceのWebサイトに掲載されている。
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