インフラ部門をビジネスドライバーへ導くサービスマネジメント:企業競争力のカギ
IBMはTivoliで実現するITSMがインフラ部門のビジネス的価値を向上させ、企業競争力を高めるカギになると考えているようだ。
日本IBMでは米国フロリダで開催されたTivoliユーザーカンファレンス「Pulse2008」の成果をひっさげ、来る11月下旬には国内でも大規模なカンファレンスを計画しているという。国内ITサービスマネジメント市場への取り組みについて、日本IBM Tivoli事業部長 日野義久 理事に話を聞いた。
「Tivoliは従来、金融系、そしてNetcoolを持つがゆえにテレコム系の企業ユーザーに対し強みがあった」と日野氏は話す。こういったユーザーは、ITILやサービスマネジメントに理解があり、ビジネスを進めやすかったという。だが国内市場では、「例えば製造業のユーザーにも評価してもらえるよう、営業力の幅を広げたい」と日野氏は話す。基本的な話ではあるが“お客様の課題”に対応できるソリューション力を備えることが重要なのだという。
現行のITIL認定資格としては、「Foundation」と、その上位となる「Manager」が存在する。日野氏によると、Tivoliのセールスチームでは、Foundationの資格取得が必須となっているそうだ。なお上位資格であるManagerの取得者総数は、国内では200人に満たない。そのうち30名弱が、日本IBMに所属しているのだという。このあたりにも、日野氏の言う「ユーザーの課題に答えるソリューション力」の礎がありそうだ。
Tivoliだけがユーザーにもたらせる世界がある
企業ITシステムにおけるトレンドとしては、仮想化環境、グリーンITというキーワードが挙げられる。実現のためにサービスマネジメントに求められるのは、データセンター全体の管理、そして複数のデータセンターをまたいだ統合管理といった要件だ。日野氏は「そこに、Tivoliだけが提供できる世界がある」と自信を見せる。
いわゆる運用管理分野のソフトウェアがIT機器の管理を行えるのは、当たり前である。しかし、データセンターという“施設”には、多くのIT機器以外の設備が備わっている。それらを継続的に管理するにはサービスデスク、そしてIT以外の資産管理を一元化するCMDB(構成管理データベース)を実装したMaximoをラインアップに持つTivoliに一日の長があるのだという。
Maximoがカバーする範囲はEAM(Enterprise Asset Management)、企業資産管理という分野だ。EAMは従来CMMS(Computerized Maintenance Management System:コンピュータ化された設備保全システム)とされていた概念の上位に位置する考え方だという。「EAMという概念を国内ユーザーに浸透させていく。これはわれわれのチャレンジでもある」(日野氏)
インフラ部門は運用を脱却しビジネスの主役へ
日野氏は企業ITのインフラを管理している部門について「ビジネスの主役でなければならない」と認識しているという。一般的に、国内より欧米の企業のほうがサービスマネジメントという概念が浸透し、実践されていると捉えられがちだ。しかし日野氏の考え方は前向きである。「日本は遅れているのではなく、“違う取り組みのもと、進化してきた”と考えられる。ヒト系がカバーするビジネス範囲と、IT系がカバーするビジネス範囲の線引きの位置が違うだけだ。インフラ部門にサービスマネジメントという考え方が根付けば、国内企業の競争力はさらに強化される」と日野氏は話す。
その具体的な施策として、今年の11月下旬に「サービスマネジメントを啓蒙する目的でカンファレンスを行う。フロリダで行われたPulse2008の内容もフィードバックし、Tivoliブランドとしてはかつてない規模のものとなる」と同席したTivoli事業部 西倉誠 氏は紹介する。カンファレンスの詳細は、サイト上で随時告知されるという。
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