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マネジメントの真髄に迫る――富士通 野副新社長が語った決意と本音Weekly Memo(1/2 ページ)

今回は、富士通が8月5日に開いた経営方針説明会から、野副新社長の決意と本音、そしてマネジメントの真髄に迫る発言を筆者なりにピックアップしてみたい。

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“お客様のお客様起点”経営へ

 「黒川博昭前社長が5年間かけて築いてきたお客様起点の経営を一層強化し、富士通の強みをもっと活かしていきたい」

 富士通の野副州旦社長は8月5日に開いた経営方針説明会で開口一番、こう語った。6月の社長就任以来、自らの経営方針を表明するのはこれが初めて。2009年度に営業利益率5%(07年度は3.8%)達成を柱とした従来の中期目標を踏襲する一方、経営に対する考え方や今後の事業展開では“野副カラー”ものぞかせた。説明会の内容はすでに報道されているので関連記事を参照いただくとして、ここでは説明会での野副社長の発言から感じ取れた決意と本音、そしてマネジメントの真髄に迫るポイントを挙げてみたい。

 「お客様起点からさらに“お客様のお客様起点”へと深堀していきたい」

 黒川前社長は、顧客の立場に立つことを「お客様起点」と言い、黒川時代のマネジメントの真髄に据えてきた。野副社長はそれをさらに深堀し、「富士通にとってのお客様だけでなく、そのお客様の先におられるお客様もITによって新しい価値を見出していただけるようにしたい」と語った。そして、そのためにはまず、「富士通にとってのお客様の商流を詳細に把握してこそ、その先のお客様にも価値を提供できる」と強調した。

 「これからは本業をいかに強くしていくかが重要だ」

 02年度以降、富士通の営業利益は着実に伸びているが、野副社長によると「その中にはグループ会社が費用負担したブランド使用料なども相当割合含まれており、本業を強くしないと富士通らしい強さを発揮できない」。今や同社の本業での営業利益の柱はソフト・サービス事業が担っているが、今後も同事業を軸として09年度の営業利益率5%達成に全力をあげていく構えだ。


経営方針を説明する富士通の野副州旦社長

 「海外事業は課題事業であると同時に、新規の事業領域だととらえている」

 海外経験の豊富な野副社長にとっては、海外事業をいかに伸ばすことができるかが手腕の見せ所。しかも04年度から07年度までの売上高の年平均伸び率をみると、国内事業が1.7%増だったのに対し、海外事業は11.8%増と2ケタ成長しており、「海外事業は、やれば成長が期待できる」と手応えを感じているようだ。海外売上比率は07年度で36.1%だったが、これも09年度には40%以上に引き上げることを中期目標で掲げている。

 「ソリューション/SI事業では、SE回転率という新しい指標を重視していく」

 ソリューション/SI事業では、営業とSEが一体化して活動するなどの改革を進めてきた結果、07年度には国内SI事業の営業利益率が05年度のほぼ倍増の10%近くに改善した。その背景には、不採算プロジェクトの損失額を減らすとともに、SE回転率を05年度の2.2回から07年度2.6倍に引き上げてきたことがある。野副社長によると、かつては優秀なSEほど不採算プロジェクトやシステム障害の火消し役に回るケースが少なくなかったが、そうするとSE回転率は悪くなるばかりだったという。そうした状況を改善するためにも、SE回転率の向上に一層努めていく考えだ。

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