CRMツールがもたらすビジネスへの客観的な視点:CRMの新潮流(2/2 ページ)
CRMツールによって、マネジャーは自社のビジネスを客観的にとらえることができる。マネジメントは冷徹なものでなくてはならないが、クールな視点が個々のスタッフの疲弊を和らげる効果も生み出す。
無駄なミーティングもなくなる
顧客との関係をマネジメントすることは、無駄な動きや余計なコストの発生を防ぐ効果がある。また、営業担当者が時には苦し紛れに報告する受注の確度に振り回されることもない。顧客への訪問履歴や訪問時で得た情報を一覧することができれば、どこにどれだけ人を配置すればいいのかも把握できるし、そして何より、受注やコストに関する予測精度が増し、金融機関などからの信頼も厚くなる。
SalesforceをはじめとするCRM製品を上手に活用している企業に共通しているのは、長時間の営業会議がなくなった、あるいは非常に短くなったという声が聞かれることだ。情報を常に共有しているので、会議で1つひとつの案件について確認する時間が短くなるのである。あとは各担当者がどれだけ正確に入力するか、だけの問題になってくる。
Salesforceを活用して成果を上げているある企業のマネジャーはこんなことを言っていた。
「ITツールで営業の管理をすることで良かったことは、ビジネスを客観的にとらえることができるという点だ。マネジャーだけでなく、個々の担当者が自分の行動も客観的に見ることができるので、ミーティングと称して愚痴の出し合いをすることもなくなる。どこに力を集中すればよいのか、それが分かるだけでもチームのパフォーマンスは格段に上がるものです」
どんぶり勘定は、知らないうちにしてしまうものだ。誰も望んでする人はいない。社員の動き方、顧客との関係の持ち方、各種部材の注文の仕方、すべての無駄を白日のもとにさらすCRMツールはある意味で「恐ろしい道具」かもしれないが、ビジネスを客観的にとらえる視点を手に入れることを考えれば、一時の恐怖感は十分に耐えられるものだ。ちなみに流体計画の事例は、セールスフォース・ドットコムの社長で、米国セールスフォース・ドットコムの上席副社長も兼任する、宇陀栄次氏のお気に入りの導入事例の1つだという。まさしくツールが最大限にマネジメントに貢献したというのがその理由ではないだろうか。
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