電源投入時にdiagが実行される設定の解除(ALOMの設定):UNIX処方箋
現場ですぐに役立つ知識を欲するあなたに贈る珠玉のTips集。今回は、サーバをリモート管理するための機構である「ALOM」での診断モードを回避する方法について解説します。
過去に利用していたサーバ(SUN Ultra 10、Solaris 2.6)では、Open Boot PROM(OBP)の設定を「diag-switch? false」に変更すれば、POST(Power-On Self Test、電源投入時自己診断)モードで起動することはありませんでした。しかし、現在使用中のサーバ(Sun Fire V240、Solaris 10)で同じように設定しても、電源投入時に診断モードで起動してしまいます。これを回避するよい方法はないでしょうか?
回避することは可能です。また、今回の現象はサーバの種類に依存します。OBPの設定を変更しても診断モードで起動してしまうのは、ALOM(Advanced Lights Out Manager)の機能が働いているからです。ALOMという名称を聞くのははじめてという方もいるかと思いますので、ALOMについて簡単に触れてから設定方法を説明していきましょう。
ALOMとは
ALOMとは、サーバをリモート管理するシステムコントローラーです。離れた場所からでも、POSTなどの診断を実行できます。また、ハードウェア障害や警告を電子メールで通知させることができます。さらに、ALOMはサーバのスタンバイ電源を使用しているため、サーバの電源がオフの場合でもALOMは動作します。ALOM搭載サーバに限りご質問の現象が発生します。
ALOMでの診断モード回避方法
ここでは、サーバへ直接シリアルケーブルを接続して設定する方法を紹介しましょう。
シリアルケーブルを接続する
サーバ背面にある「Serial Mgt Port」(シリアルマネジメントポート)に、サーバ添付のケーブルを接続し、PCなどのコンソール端末上から確認できる状態にします。シリアルポートの設定値は、通信速度9600bps、ノンパリティ/データ8ビット/ストップ1ビットとなります。
ALOMを起動させ、ログインする
前述したように、ALOMはスタンバイ電源を利用しているため、電源ケーブルをマシンに挿すと通電と同時に起動します。電源ボタンを押す必要はありません。
ALOMの起動が終わると、コンソール画面に次のメッセージが表示されます。
Please login:
Please Enter password:
ここで、ユーザーadminでログインします。また初回ログイン時には、設定するパスワードを尋ねられるので、任意のパスワードを設定します。
診断モードをオフにしてサーバを起動させる
ログインが完了するとプロンプトが表示されます。
sc>
次に、bootmodeコマンドを使って、起動時の設定を変更します(表1)。実行例1のように、診断モードをスキップする設定を行い、設定変更後に設定内容を確認します。その後サーバの電源をオンにすると、診断モードがスキップされて起動します。その際のログが実行例2です。「bootmode skip_diag」と設定したことで、診断モードにならずに起動しているのが分かります。
オプション | 機能 |
---|---|
bootscript ="string" | このオプションを使うことで、NVRAMの設定をALOM上から変更できる。stringの長さは最大64バイト |
diag | 強制的にPOSTを実行する |
normal | 標準設定で起動する(デフォルト) |
reset_nvram | サーバのOBP(Open Boot PROM)/NVRAM設定を出荷時設定にリセットする |
skip_diag | サーバの診断を強制的にスキップする |
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
bootmodeの注意点
紹介したbootmodeコマンドには、設定有効期限があります(実行例1)。設定有効期限は10分間となっており、その間にサーバの電源をオンにするか、サーバの再起動を実行しないと、bootmodeがデフォルトの「normal」に戻るようになっています。
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