「今年のチームリーダー」に東国原知事や女子バレーの竹下選手が選出:チームワークを“どげんかせんといかん”
従業員同士の会話が少なくなりコミュニケーション不全に陥るなど、“不機嫌な職場”がまん延している企業も少なくない。サイボウズはチームワークを再考する委員会を発足し、顕著な実績を残したチームリーダーとして東国原知事や女子バレーの竹下選手を表彰した。
成果主義により自分の仕事にしか取り組まない従業員や、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を電子メールで済ませるなど、上司との会話を極力避ける新入社員――このように従業員同士によるコミュニケーション不全が起こり、“不機嫌な職場”がまん延している企業は少なくない。
こうした事態に対し、サイボウズはあらゆる組織にチームワークを根付かせ、組織を活性化させるべく、「ロジカルチームワーク委員会」を発足した。チームワークの重要性を見直すとともに、チームワークを作る手法を論理的に定めるなど、掛け声だけの一致団結にとどまらない活動を目指す。
同委員会の発足に伴い、今年最もチームワークに貢献した人として、宮崎県知事の東国原英夫氏、女子バレーボール日本代表の竹下佳江選手、コンサルティング会社リンクアンドモチベーションの小笹芳央社長、旅館再生事業を手掛ける星野リゾートの星野佳路社長を選出。9月20日、東京都の芝大神宮でその表彰式が行われた。
一人一人が結集すれば、疲弊する地方を救える
台風の影響により来場できなかった東国原知事はVTRでのコメント。「“県民総力戦”を掲げたマニフェストを作っており、議会から県民までが1つになって地域再生に努力している」とし、県産品の販路拡大や観光客の増加を宮崎県全体で取り組んでいることに言及した。
またチームワークについて「一人一人は弱い力でも、それが集まると大きな力になる。疲弊した地方を救うには、国民が一丸となって活性化に尽力する必要がある」と述べ、「この賞に恥じないように(チームワークを駆使して)、宮崎県、地方、そして国の発展に尽力したい」と力強く語った。
沈着冷静な判断と背中で語るキャプテンシー
「世界最小最強セッター」というプレイヤー、そして柱としてチームを率いる「日本代表の主将」という2つの顔を持つ竹下選手。北京オリンピックでは18〜35歳の年齢で、能力や考え方も異なる選手達をまとめ上げた。そのポイントについて竹下選手は「個人を押さえつけるのではなく、いかに能力を引き出すかを考えていた」と振り返る。
例えば「厳しい場面になると力を発揮する選手がいる一方で、緊迫した場面で委縮してしまう選手もいる」(竹下選手)。この場合、竹下選手は逆境を力に変える可能性のある選手に重点的にトスを上げるのだという。めまぐるしく主導権が変わる試合の中で瞬時の判断を積み重ね、チームを鼓舞してきた。
また「コートに入れば年齢や身長は関係ない。必死に努力している姿を周りに示す」と竹下選手。自らが練習を率先し、背中で語るキャプテンシーも披露してくれた。
従業員の思いに火が付いて、企業は成長する
「潤沢な資金や素晴らしい戦略があったとしても、顧客に喜んでもらいたいという気持ちや(仕事を通じて)成長したいという従業員の思いに火が付かなければ、企業の再生や成長にはつながらない」。小笹社長はこう言い切った。
小笹社長は、従業員のモチベーションを高め、強い集団を作るために企業の空気をどう変えるかということに取り組むべく、リンクアンドモチベーションを設立した。目に見えないモチベーションを事業の柱とする難しさもあったが、2007年12月に東京証券取引所2部に上場を果たすなど成果を出した。「信念が認められてありがたい」と小笹社長は受賞の喜びを語った。
強い組織を作るためには「まず自分達が強い組織でありたい」と小笹社長は言う。「情報や個人の仕事への思いを共有する場」(小笹氏)として、業務における各種の施策をビンゴやダービーなどのカジノゲームに見立ててルール化するといった取り組みを進めている。勝つ企業の構築と、従業員のモチベーション管理は切り離せないようだ。
言いたいことを言い合えるチームが勝つ
星野リゾートは宿泊施設の展開だけでなく、「白銀屋」や「いづみ荘」などの温泉旅館をはじめとした国内13カ所のリゾート再生を手掛けている。「同じ経営者だが、再生案件を手掛ける難しさは想像がつかない」というサイボウズの青野慶久社長に対し、星野社長は「組織のフラット化」を沈んだチーム構築のキーポイントに挙げた。
「スポーツはゲームが始まれば実力の世界で、先輩後輩は関係ないが、たいていの会社はピラミッド組織になっている。お互いのポジションに関係なく、言いたいことを言い合って納得した状態で仕事ができるかが大事」と星野氏は断言する。「情報をオープンにして意見を出し合い、そのコンセンサス(意見の一致)が取れるようになれば企業は成長する」と勘所を語った。
青野社長は「受賞が企業にとって“素晴らしいチーム”の証明になるよう、世界を代表するイベントにしたい」と同委員会の設立に意気込みを見せた。
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