周りの人はあなたの仕事をしっかり見ています:戦略プロフェッショナルの心得(7)(3/3 ページ)
最終回となる第7回は、連載をお読みになって「戦略プロフェッショナル」という仕事に興味を持たれた方に、キャリアプランの考え方をご紹介します。
マーケティングを担当している方々のコーチングを行わせていただく場合でも、この質問に対するその人の答えを一緒に考えるようにしています。
「いや、自分は考えたこともないし、そんなものは持っていない」という人も多いのですが、実はそんなことはないのです。
例えば、あなたが新入社員だった頃のことを思い出してみてください。社会人1年生として入社してからの1年間、自分はあまり成長していないようなジレンマを感じながら夢中にやっていた人も多いと思います。しかし、1年後に入社してきた新入社員と、入社して1年が経過した自分を比べて、知らない間に大きく成長している自分を見つけた経験がどなたもあるのではないでしょうか。わずか1年の新人の期間中に、仕事を通じてさまざまな経験をし、仕事の暗黙知を蓄積しているのです。
実際、毎年4月の通勤時に出会うようなひと目で社会人1年生だと分かる初々しい人たちも、2、3カ月も経つと見事にたくましい社会人となり、ビジネスパーソンの中に溶け込んでいます。1年間でこれだけ違うのです。数年間、十数年間、または数十年間取り組んできた仕事から、誰でも大きな学びを得て、暗黙知や問題意識を身に付けています。
問題はそれが形式知として、見える形で整理されていない点です。見える形で整理することで、問題点と将来の目標も見えてきます。1度、仕事を通じて自分が得たものは何かを改めて考えて、棚卸しと整理をしてみてはいかがでしょうか。実際に行ってみるとなかなか大変な作業ですが、必ず大きな見返りがあります。
冒頭の2つの質問をする場合、質問をする側にも力が求められます。相手の回答の中にある深い暗黙知の世界を理解しなければならないからです。
- あなたは、マーケティングとはどのようなものだと考えますか
- あなたが担当している業務分野について、これから3年間のあなた自身が考える戦略を教えてください
これらの質問に対して、即座に回答できるように常に考えていたいものですし、この回答をいつでも受け止められるように自分自身を高めていきたいものです。
7回にわたってお付き合いいただいたこの連載も、今回が最後です。最後までお読み下さり、ありがとうございました。
(注)本書に掲載された内容はわたしである永井孝尚個人の見解であり、必ずしもわたしの勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
関連記事
- 第6回:「売れていない」ことは問題ではない
- 第5回:営業とマーケティングは考え方が正反対
- 第4回の価格戦略を考える際の落とし穴
- 第3回:手強いライバル、成熟市場――あなたならどうする
- 第2回:新製品普及の壁「キャズム」――売れない理由を科学する
- 第1回:「差別化」に潜む落とし穴
- CRMの新潮流(オンラインムックPlus)
- 「こだわり消費」を促す――顧客マネジメント成功の鍵
- 口コミを軽く見ていませんか
- 首都圏のスーパーが電子看板で売り上げ増 ソニーが開拓する新たな「広告メディア」
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.