世帯から個人へ、ブロードバンドサービスは次の成長期に:アナリストの視点(3/3 ページ)
ついにDSLをFTTHが上回った。矢野経済研究所のアナリストが、立ち上がりつつあるワイヤレスブロードバンドの影響、そして今後のブローバンドサービスについてコンシューマー市場の動向を中心に展望する。
提供されるサービスは、現状、ウィルコムの提供するものが512kbpsと1Mbpsを切るものの(将来的には次世代PHSにて20Mバイトps以上になる)、ほかの事業者においては、最低3.1〜7.2Mbpsのサービスとなっている。提供エリアについては、携帯電話事業者は全国カバー率が高く、新規事業者は、都市部に集中している(徐々にカバーエリアを広げつつある)。
さらに、モバイルWiMAX、次世代PHS、LTE、UMBなど新たな規格のサービスが、2010年頃よりテストサービスや一部エリアでの商用サービスとして開始されることから、今後はより競争が激化するであろう。
移動系のワイヤレスブロードバンドサービスは、DSL、FTTHなどの「固定系ブロードバンド」と遜色ないサービスとして進化してきている。「固定系ブロードバンド」は「世帯」「移動系ブロードバンド」は「個人」と、ターゲット層は全く同じというわけではないが、こうしたワイヤレスブロードバンドの進化という動きは、現在主流となっている「固定系ブロードバンド」サービスの普及傾向にも大きく影響を与えるものなってくるであろう。特に、ブロードバンドのフロー(新規)市場では競合するケースも出てくると思われる。
ただし、当面は現在の「固定系ブロードバンドのストック(既存ユーザー)市場」においては、解約などの影響は軽微とみている。テレビ接続や複数のPCでシェアして利用されている固定系ブロードバンドサービスは、ユーザーにとってもすぐには解約しづらい状況にあることが一因だ。
今後は、ワイヤレスブロードバンドサービスは、FTTHをはじめとした「固定系ブロードバンド」とは、一部競合(代替)しつつも、一方では携帯電話サービスを含めた、相互の「補完サービス」として普及していくものと思われる。
矢野経済研究所でも、現在は一般的な固定系ブロードバンドサービスについて予測をしているが、今後はワイヤレスブロードバンドサービスを含めた、広義のブロードバンドサービスとして、市場動向を見ていく必要があると考えている。
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