「ホームページは店舗だ」――マクドナルドが5年半ぶりのHP刷新に込めた思い(2/2 ページ)
日本マクドナルドが5年半ぶりにホームページを刷新した。LPOを採用してコンテンツを動的に表示したり、時間に応じてWebサイトに変化させたりするなど、「Webサイトも店舗の1つ」というコンセプトに基づき、“ユーザーの楽しさ”を演出する。そこには、支持を集める企業サイトの要素がちりばめられている。
店舗と同じようにホームページを楽しむ仕掛け
「店舗と同じようにホームページを楽しんでほしい」。そのために同社が導き出した新たな答えは、コンテンツの拡充だった。
今回、「マック スマイルファクトリー」という子どもやファミリー向けのコンテンツを新たに作った。これは、指定のアドレスに顔写真を送信すると、マクドナルドの商品やキャラクターをなぞらえた顔写真の待ち受け画面やブログパーツを入手できるサービスだ。
このコンテンツでは顔認識システムを採用している。写真に写った顔の表情に応じて、待ち受け画面やブログパーツ、デコメールなど32種類のコンテンツを提供する。
Webサイト全体のデザイン面では、茶色と黄色を基調とした配色を採用した。従来のサイトは白色がベースだったが、店舗に近い配色を施した。ユーザーの感触も上々のようだ。
マクドナルドは時間帯によってメニューや客の出入りなど、店舗の様子が変わる。またクーポンをダウンロードした携帯電話を店舗に持ってくるユーザーも多い。顧客のライフスタイルに密着したコンテンツを作り、“店舗に近い”サイトを設計することで、顧客満足の向上につなげていく。
企業サイトは多くを語らず、ユーザーに必要な情報を分かりやすく見せることが大事だと清水氏。「Webプロデューサーの仕事は、(さまざまな情報からデートの予定を計画して楽しさを演出する)デートプランナーに近い」と笑う
企業がWebサイトを構築する場合、顧客を囲い込むために、あらゆる情報を掲載する場合が多い。だが清水氏は「動的なコンテンツをやたらと組み込んだり、すべての情報を載せようとして、“多くを語りすぎている”ホームページはユーザーには響かない」と指摘する。
インターネットや携帯電話で情報を探すことに慣れたユーザーは、こうしたページを好まなくなっている。口コミやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などから、ユーザーにとって必要な情報を造作なく手に入れられるからだ。
「ホームページは、企業にとって何を意味するものかを考えることが重要」と清水氏は強調する。今回の刷新では、ユーザーがホームページを見たときに「“マックっぽい”とか“楽しい”と感じるかどうかを追求した」。
「技術ドリブンのホームページは目指していないし、LPO(という技術)を顧客に感じてもらう必要もない」と清水氏は言う。企業サイトには単に新しい機能を取り入れるだけでなく、ホームページを見てくれる顧客を“ファン”にするために、“楽しさ(Fun)”を余すところなく提供することが必要になるといえそうだ。
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