社長が欲しがる「魔法の鏡」:IT Oasis(2/2 ページ)
社長という立場は多くの不安と戦わなければならない。常にそうした戦いに打ち勝つことができる、能力のある社長でも情報なしに正しい意思決定はできない。
戦略的IT投資は「見える化」に貢献する
実際に戦略的IT投資をした社長はどのような評価をしているか。
ある会社は生産管理システム導入の一環として、仕掛状況管理、製作途中の不良をほぼリアルタイムに処理して従業員が共有できるシステムを完成させた。
社長は「今までは現場へ行かないとよく分からなかったんだね。それが仕掛状況が分かるようになったんで、どの工程で渋滞しているかが座っていて見えるようなった。本来なら午前中に50%くらいは終わっていないといけないのに30%くらいしか進んでなくて、その工程に渋滞していたら何か問題があるわけよ。そこまで頭に入れて現場に行くでしょ。だから、前工程に問題があって段取りに手間取っているから誰か手伝ってやれとか対策も立て易いね。逆に思った以上に工程が進捗しているので不思議に思って現場に行くと、担当者が工夫して段取りが良くなったって事が分かったりとかね」
「前は不良統計が出るのが何週間も後だったんですよ。出荷してお客さんに納めた後に不良はこうでしたなんて持って来られても、後の祭りだよね。それが、工程が終わるとすぐに、その工程での不良が出るようになった。そうすると対策は立てやすいし、横展開もできるよね」
IT導入で直接収益が改善されるとか、作業効率が飛躍的に良くなるといった事はほとんどない。情報伝達のスピードがあがり、共有できるということがメリットである。そしてその情報を元に素早く意思決定ができるようになるのである。「会社の見える化」、「業務の見える化」である。
先駆的な中小企業の中には「魔法の鏡」を入手しつつある会社も出てきているのである。
プロフィール
さいとう・じゅんいち 未来計画代表。NPO法人ITC横浜副理事長。ITコーディネータ、 CIO育成支援アドバイザー、上級システムアドミニストレータ、環境計量士、エネルギー管理士他。東京、横浜、川崎の産業振興財団IT支援専門家。ITコーディネータとして多数の中小企業、自治体のIT投資プロジェクトを一貫して支援。支援企業からIT経営百選、IT経営力大賞認定企業輩出。
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