直感に訴えるメッセージを発信するには:職場活性化術講座(2/2 ページ)
リーダーは思いを込めてメッセージしなくてはならない。単なる説明口調で、左脳的に長々と状況分析が客観的にされていても、結論は響くものにはならない。
質問を歓迎せよ。出なければ自分でせよ
もう1つ針路設定者が気をつけるべきことは、感受性だ。発信するのは大事だが、受け手の受信能力、受信状態をきちんと考える必要がある。社員が何を聞きたがっているか、どういうことに心配を抱いているのか。これをきちんと把握して対応しないと、すべった発信になってしまう。特に、口コミは早いので、公式見解が著しく遅くかつ内容も旧知のことがらであっては興ざめ。トップや上司の真意や姿勢を疑われてしまう。社員の関心を知る受信能力を鍛えよう。そのためにも日頃からの現場廻り、あなたの右腕君からの情報収集が欠かせない。
最後に、針路設定者の大切なコミュニケーションスキルをいくつ掲げておこう。
- 話の要点は2つか3つに絞る
- 現場の言葉で語る。社員が実際にやるべきレベルに具体化する
- 3つの話をする。すなわち、何を話すつもりか話し、そして話し、最後に何を話したかを改めて話す
- 現実を直視したメッセージを出す。逃げずに向き合う姿勢を見せる
- 個人的なぬくもり(パーソナルな雰囲気)を出す
- 質問を歓迎する。質問が出ない場合は、自分で自分に質問する
- 「お持ち帰り」のメッセージを出す
- いい行動や努力をタイムリーにいつでもほめることで、何が正しいことなのか、期待されているのかを具体的に示す(表彰を年中行事にしない)
- 自分の右腕君や組織内のキーインフルエンサーを大事にし、代弁者になってもらう
このようにあの手この手で、組織の針路を執拗に発信していくことがなければ、組織は決して思うようには動いてはいかない。そのためにはコミュニケーションのための体力も必要だ。秋のスポーツシーズンには、ぜひコミュニケーション基礎体力のアップにも努力したいものだ。
プロフィール
とくおか・こういちろう 日産自動車にて人事部門各部署を歴任。欧州日産出向。オックスフォード大学留学。1999年より、コミュニケーションコンサルティングで世界最大手の米フライシュマン・ヒラードの日本法人であるフライシュマン・ヒラード・ジャパンに勤務。コミュニケーション、人事コンサルティング、職場活性化などに従事。多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所教授。著書に「人事異動」(新潮社)、「チームコーチングの技術」(ダイヤモンド社)、「シャドーワーク」(一條和生との共著、東洋経済新報社)など。
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