IBMの新製品に見る日本のメインフレーム市場:伴大作の「木漏れ日」(3/3 ページ)
日本IBMがミッドレンジメインフレーム「System z10 BC」を発表した。そのデータをもとに、メインフレーム市場の今後の動向を考えてみたい。
ユーザーが鍵を握る
IBMの発表にこれまで数多く立ち会ってきたが、今回のように価格を全面に打ち出してきた発表会は記憶にない。再び、なぜIBMは今回価格にこれ程こだわったのだろうかについて振り返って考えてみよう。
1つは前述の通り、HPを代表とするオープンシステムへの対抗という軸だ。もう1つはメインフレーム市場におけるライバルの駆逐という軸だ。さらに、IBMの未来を決定するクラウドへの道という軸がある。この3つの軸を組み合わせて考えると、z10BCに与えられた役割と将来性を解く鍵はこの辺にありそうだ。
わたしはこの問いに対し、「IBMはとりあえずジャブを繰り出しただけ」だと理解している。まだ、値下げ余地は十分ある。しかし、相手がどのような対策を出すかもしれない現状では、身動きが取れないのではないか。
日本のベンダーやオープン系のハイエンドサーバベンダーの対応も今の状態では見えてこない。何よりも、ユーザーの反応が知りたいというのがIBMの本音だ。
国産メインフレームベンダーのユーザーあるいはオープンシステムユーザーの多くがz10BCに興味を示せば、IBMは本格的に値下げを開始し、乱戦に持ち込むに違いない。そうして相手を完膚なきまで叩きのめす。それは間近に迫っている。
しかし、古くからのことわざで「二兎を追うものは一兎をも得ず」という言葉がある。z10BCは国産メインフレーム、オープンシステムという二匹の獲物を追っているのは確かだ。IBMがこの故事にならわないという保証はない。それを決めるのはユーザーだから。
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