CA、SaaSの世界への正式参加を表明:システム管理もクラウドに
CAはこれまで非公式に提供してきたSaaS製品の販売拡大に向け、IT管理/ガバナンスポートフォリオ全般を網羅したパッケージを発表。4年ほど前から一部のサーバベースのデータ管理製品のホステッド版を開発している。
表面的にはゲームに参加するのが遅れたように見えるデータセンター管理ソフトウェアメーカーのCAが今、オンデマンド型ソフトウェアサービスビジネスに正式に参加した。
実際のところ、CAは4年ほど前から、サーバベースのデータ管理製品の一部のホステッド版を開発してきた。同の顧客のうち約1000社は、これらのオンデマンド版製品を今年から利用している。
しかし、オンデマンド事業部を新たに立ち上げたばかりのCAでは、準備が完全に整うまでオンデマンド型ソフトウェアの公式なマーケティングを手控えてきたとしている。
ラスベガスで開催したCAの年次ユーザーカンファレンス「CA World」の開幕初日の11月16日、同社は3つの新しいSaaS(サービスとしてのソフトウェア)製品を発表した。これらの製品は、同社のIT管理/ガバナンスポートフォリオ全般に対応するもので、ユーザーは月額方式でサービスをレンタルすることができる。
そのうちの2つのサービス「CA Instant Recovery On Demand」および「CA Clarity PPM(Project and Portfolio Management) On Demand」は、これまで正式発表こそなかったものの、今年4月から多くのデータセンターで利用されている。
3つ目のサービス「CA GRC(Governance, Risk and Compliance)Manager On Demand」は11月17日にデビューした。
SaaSは、インターネット上でホスティングされるソフトウェアを顧客が会員方式で利用するというモデルで、月額あるいは年額という形で料金が設定されるケースが多い。
CAのガバナンス部門の製品担当ゼネラルマネジャー、ヘルゲ・シャイル氏は「CAは今、オンデマンドビジネスに参入したが、実際にはしばらく前からこの分野に取り組んでいる。オンデマンド製品を一般に提供し、それを正式に発表する時期は今だと判断しただけである。それには幾つかの理由がある」と話す。
シャイル氏によると、オンデマンドコンピューティングへのトレンドはいよいよ本物になったという。「例えばIDCの調査によれば、現在のSaaSへの支出は、伝統的なオンプレミス(自社保有)型リレーショナルソフトウェアと比べて4倍のペースで増加している」と同氏は語る。
CAに対して既存の顧客から「強い要求」が寄せられたという。「追加的なオプションとしてSaaSを提供してもらいたいという声が高まってきた」とシャイル氏は話す。
3つの新サービスの内容は以下の通り。
CA Clarity PPM On Demand――ITに関連した経費、人員配備、投資、プロジェクトを全社的に管理するサービスで、現在、全世界で約900社の顧客が利用している。
CA Instant Recovery On Demand――事業継続/災害復旧パッケージで、システム障害や社外での災害の際に継続的なアプリケーション/データ可用性を実現する。
CA GRC Manager On Demand――重要なリスク管理/コンプライアンスプロジェクトを全社的に管理するためのサービス。この問題が重要な法務要件となってきた背景には、連邦民事訴訟規則の改正、サーベンス・オクスリー(SOX)法、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)などの連邦法規制とコンプライアンス義務が強化されていることがある。
Bloor Researchの創業者でHurwitz & Associatesのパートナーのロビン・ブルア氏は「IBMが約8年前に“オンデマンド”というコンセプトを編み出したときに、このメッセージを推進したのがCAだ」と指摘する。
「CAは契約交渉でも非常に柔軟なアプローチで臨んできた。必要であれば、既定の製品グループから特定のソフトウェアを外すといったことは常に可能だった」とブルア氏は話す。
「同社は今回、主として仮想化および(アプリケーション仮想化の一種である)クラウドコンピューティングについて語っている。彼らは今、両方の分野への進出を開始したのだ」(同氏)
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