100万キロワット時の省エネを実現する11のベストプラクティス:冷気と暖気の通路を確保せよ
ガートナーのリサーチャー、ポール・マクガキン氏は、推奨する11のベストプラクティスを実装すれば、データセンターの年間消費電力を大幅に削減できると話す。予算もほとんど不要とする。
ガートナーが推奨する11のベストプラクティスを実装すれば、データセンターの年間消費電力を大幅に削減できる。それらのプロジェクトの大半は予算も努力もほとんど不要だ、と同社のリサーチャー、ポール・マクガキン氏は言う。しかも、そうしたグリーンITへの取り組みは、社内の各部門の連携強化という副次的効果も生む。
IT調査会社ガートナーは11月13日、年間数100万キロワット時の消費電力の削減が可能になるデータセンター管理者向けの比較的シンプルな11のベストプラクティスを発表した。
それらのプラクティスには、データセンターの密閉性を高めることや、ラック間に冷気/暖気通路を確保すること、室外の冷気を極力利用することなどが含まれている。
「本当に驚くべきことに、データセンターでは毎日おびただしい電力が無駄に消費されている」と語るのは、ガートナーのデータセンターリサーチ担当副社長、ポール・マクガキン氏だ。「事実上すべてのデータセンターで非効率的な空調システムが利用されている」
「小さなデータセンターでさえ、こうした無駄な電力は年間100万キロワット時を超す。ベストプラクティスを実装すれば、そうした無駄を極力省くことができる」と同氏。
従来型データセンターの場合、電力消費の35%から50%は冷却システムによって占められるが、ベストプラクティスを実践する「グリーン」データセンターでは、その割合は15%程度に抑えられるという。
マクガキン氏によると、最も驚愕すべき発見は、サーバラック間の冷気/暖気通路に関するものだった。従来型データセンターの冷却システムに無駄が多い大きな理由の1つは、供給する冷気と排熱の混合を許していることだ。
「冷気と暖気を異なる通路に分離する(パーティションで仕切る)ことで、データセンターは年間電力消費を20%ないし30%セーブすることが可能。これはかなり大きな省エネになる」とマクガキン氏。
また、グリーンITのアイデア――コスト削減と省エネルギーを同時に実現する――は、ITと設備管理部門など、企業内でこれまで疎遠だったスタッフ同士が話し合い、連携するための効果的な手段の1つになりつつある。
「一般の企業では、まだそうしたコミュニケーションは始まっていない」とマクガキン氏。「たいていのITスタッフは電気代の請求書を見ることはないし、設備管理スタッフはもちろん、ITスタッフが取り組む問題の詳細を一切知らない」
そして同氏はこう続ける。「グリーンITは多くの場合、普段一緒に働くことのない人々を連携させる。そのような連携には通常、壮大なプロジェクトか、緊急事態のいずれかが必要だが、そうした状況がいま始まりつつある」
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