ニュース
株価下落でマルウェア増加、不安につけいるサイバー犯罪:世界経済の混乱に便乗
平均株価が下落すると、それに呼応して新しいマルウェアの検出件数が増えることがPanda Securityの調査で判明した。
サイバー犯罪集団が景気の不安に便乗する戦術を採用し、株価が急落するとマルウェアが急増する傾向にあることが分かったと、セキュリティ企業のPanda Securityがブログで報告した。
同社は米国で株価が急落した9月、株価の推移に照らしてマルウェアの動向を調査・分析した。その結果、平均株価が下落すると、それに呼応して新しいマルウェアの検出件数が増えることが判明。株価が下落を続けた9月1日から10月9日にかけ、マルウェア活動は活発化し「マルウェア市場」は大幅に上昇したという。
同社がブログに掲載したチャートによると、米国で平均株価が3%下落した9月9日には新手のマルウェアが前日比で100%以上増えて2万4000件を突破。5.5%の下落となった9月16日には3万1000件を超えた。
これは、景気不安の高まりに乗じてできるだけ感染を拡大しようという犯罪組織側の意図的な戦略のようだとPanda Securityは解説する。今月上旬には偽セキュリティソフトに3000万人が感染し、そのうち3.5%が執拗なポップアップの脅しに負けて金を払ってしまったという。これ以上損をしたくないとの不安から、偽のウイルス対策ソフトにだまされて金を払うユーザーが増えると踏んだ犯罪組織側の狙い通りになったとPanda Securityはみる。
犯罪集団は常に戦略の調整を行っており、景気不安が強まる中、企業やユーザーはマルウェアの危険から身を守るための対策を強化する必要があると同社は指摘している。
関連記事
- IDC、2009年のIT支出予測を下方修正――金融危機と消費支出減少が理由
調査会社IDCは、2009年のIT支出予測を下方修正した。金融危機が拡大し、ITおよびその他の製品/サービスに対する消費支出が減少し始めたことが理由だ。IDCの予測によると、米国では2009年のIT支出の伸び率が1%以下にとどまる見通しである。全世界でのIT支出の増加は3%以下になる見込みとなった。 - サイバー犯罪は景気悪化にも動じない?
偽ウイルス対策ソフトを使った攻撃の急増は、攻撃側が経済の混乱に付け込んで金を稼ごうとしている証拠だとPandaLabsは言う。 - スパムは減少傾向?
スパムは増加の一途をたどっているという一部の報道に反して、MessageLabsの最近の調査報告書は、迷惑メールの数が2008年7〜9月期に目立って減少したと指摘している。企業のゲートウェイが迷惑メールや怪しいWebサイトをブロックする割合が以前よりも高くなっていることなどが原因だ。 - 偽ウイルス対策ソフトの猛威が止まず
「ウイルスに感染しています」といった虚偽の警告でユーザーを脅す偽セキュリティソフトの被害が広がっている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.