ファイル共有ソフトの利用で犯罪者になる可能性も:ネットの逆流(4)(2/2 ページ)
なぜWinnyなどのファイル共有ソフトから情報が流出してしまうのか。安易に利用すると逮捕されかねない危険なツールの仕組みを紹介する。
こうなってしまうと、一度流出した情報は絶対に消すことができないと思うだろう。しかし、それは違うと、ネットエージェント社長を務める杉浦隆幸氏は語っている。そのままファイルは消え去ることも考えられ、回収、削除作業も行えるというのだ。なお、ネットエージェントは2007年10月16日に、Winnyネットワーク上に流出したファイルでも消滅するケースがあるという調査結果を報告している。
ただし、ファイルが消え去るのは、あくまでも情報の拡散が低い場合。情報漏えいに関して報道され、それがユーザーの関心を引いてしまって拡散を続けてしまった場合、コピーがコピーを生んでしまう可能性も高くなる。
したがって、ファイルを流出させてしまった場合、その当人がすぐに対処することで、被害を最小限にとどめることができるかもしれない。しかし、実際には第三者からの通報によって流出が分かることが多く、その場合はどれくらいの規模で拡散しているか分からないこともあるのだ。
前回と今回に関して、実際のニュースへのリンクが少ないのは、この点にある。人にはどうしても野次馬根性があるため、ニュースを聞けば、「ファイルを入手したい」「見てみたい」という人が出てしまうのは仕方がないのだ。
同時に、Winnyなどのファイル共有ソフトのことを知らなかった人が、興味を持って安易に始めてしまうケースも多い。これは危険なのでやめたほうがいい。前回も紹介した「暴露ウイルス」に感染してしまう恐れもあるし、知らないうちにキャッシュの中に著作権法に引っかかるファイルが保存されてしまうこともある。
これらの状況から、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)では、Winnyのネットワークに参加すること自体が、違法な送信行為に荷担することになるとして、利用を直ちにやめるよう求めている。
これを暴論とみるか、正論とみるか。難しいところではあるが、少なくとも業務に利用するPCや、個人情報を扱う可能性のあるPCなど、流出してはいけない情報の入ったPCには、Winnyなどのファイル共有ソフトはインストールしないことが肝要だろう。Winnyだけではない。P2Pを利用したファイル共有ソフトには、意図しない情報拡散の恐れがあること、違法ソフトの流出の恐れがあることを認識すべきだ。
著作権法違反で逮捕されることも
先述のように、Winnyなどのファイル共有ソフトで問題となるのは、著作権法に違反するファイルの送受信だ。例えば、市販アプリケーション、CDやDVDなどのデータなどが挙げられる。
Winnyだけではない。最近では11月26日に、ファイル共有ソフト「Share」を使ってテレビ番組を配信した男性が逮捕されていたことが分かった。5月にもアニメを配信した3人が逮捕されている。Winnyでも、公開前の映画ファイルを公開した男性が逮捕されている。
Shareの場合、Winnyと比較して、配信者が特定されにくいこともあって、違法なファイルなどを配信する例が続発しているが、数件の逮捕例があるところを見ると、必ずしも特定されないというわけではないことを肝に銘じるべきだろう。なお、ACCSは、Shareに関してもWinnyと同様に、使用をやめる呼びかけを行っている。
ファイル共有ソフトは便利に見えるが、安易に利用すると、逮捕されかねない危険なツールにも化けてしまう。諸刃の剣になってしまうことをしっかり認識しておかねばならない。
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