マイクロソフトは12月4日、Windows製品の偽造品に対する取り組みを強化すると発表した。インターネットオークションでの違法出品の摘発や被害者への対応を拡充するという。
同社によると、Yahoo!オークションなどで常時3000点以上の偽造されたWindows製品が出品され、年間では約7万人が購入している可能性があるという。偽造品は、再インストール用ディスクのデータを複製したものや、違法な手段でアクティベーションを行うためのマニュアルを添付したもの、不正なプロダクトキーを添付したもの、マルウェアを潜ませたものなどがある。
偽造品の多くは国際的な犯罪者組織が供給しているとみられ、海外で複製などの違法製造を行いし、国内にいる関係者がオークションサイトに出品して利益を稼いでいるという。オークションサイトでの販売価格は、正規品に比べて10分の1以下などに設定され、一般利用者の関心を集めようとする。
偽造品対策は税関や警察当局の摘発、サービス事業者やマイクロソフトが独自に監視することで流通拡大を抑止しているが、今後は関係者同士の連携を推進する。特にインターネットオークションでは偽Windows製品が多数出回り、摘発や出品者のID削除などの活動を強化する。Office製品なども監視を強めるとしている。
法務・政策企画統括本部の伊藤ゆみ子弁護士は、「われわれは、教育や啓発、技術(正規品認証)、法務の点で偽造品対策を進めている。実際に12カ国でインターネットオークションへの出品に絡んだ訴訟も実施している」と話した。
監視や摘発強化と併せて、同社はユーザーに対する啓発を目的としたWebサイトと2009年1月9日までの限定で被害者相談窓口(年末年始は休業)を開設した。相談窓口では、偽造品購入に伴うトラブル相談などに対処する。「被害実態などは明かせないが、“知らないで購入してしまった。どうずればよいか”という相談が寄せられている」(同氏)。偽造品をインストールしたことでマルウェアに感染し、個人情報が盗み出されたケースもあるという。
伊藤氏は、「偽造品そのものを無くすための第一歩として、ユーザーへの啓発と被害者のケアを重視している。監視と摘発を進めることで不正流通を可能な限り根絶したい」と話した。
マイクロソフト偽造品相談窓口
電話番号:0120-525-161(フリーダイヤル)
受付時間:9:30〜12:00/13:00〜19:00(土日祝日などを除く)
開設期間:2008年12月4日〜2009年1月9日(12月30日〜1月4日は休業)
対応内容:偽造品の特徴説明、購入製品の判別、正規品の購入方法の紹介ほか
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