大規模プロジェクトでアジャイルを――日本IBMら3社が協業
「アジャイルは小規模システム向けだから大企業では使えない」――そんな迷信を跳ね返すべく、SRA、チェンジビジョン、日本IBMの3社が協業して、大規模・分散開発環境におけるアジャイル開発を推進する。
SRA、チェンジビジョン、日本IBMの3社は12月5日、大規模・分散開発環境におけるアジャイル開発の推進を目的とする協業を発表した。
1カ所に集まった小規模なチーム開発では有効、そんな風にとらえられることが多いアジャイル開発。特に、分散開発環境ではコミュニケーション不全が起こりやすいためアジャイルは適さないのではと考える向きが多かった。
しかし時代は変わりつつある。IBMのコラボレーションプラットフォーム「Rational Team Concert」(RTC)に見られるチーム開発のプラットフォームが円熟味を増したことで、分散したプロジェクトチームであっても、アジャイルでのソフトウェア開発を協調して行うことが大規模なプロジェクトでも現実的な選択肢になりつつある。
今回の発表では、RTCを核とし、そこにチェンジビジョンのプロジェクトマネジメントツール「TRICHORD for RTC」を加えたものを「アジャイル開発プロセス可視化」ソリューションとして、SRAが中心となって販売していくというもの。
興味深いのは、単なる発表で終わることなく、最大100社に同ソリューションの簡易版を特別価格で提供しようとしている点だ。実際に利用してもらい、その効果を知ってもらうことで、大規模・分散開発環境におけるアジャイル開発を広く浸透させようとしている。また、今後、定期的な共同セミナーをはじめとする情報発信を密にしていくことも明らかにされている。
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