ネットビジネスの収益モデルは今後も広告――米comScore上級副社長:課金は難しいのか
インターネット利用動向を調査する米comScoreのウィル・ホッジマン上級副社長が、ネットビジネスを支える広告あるいは課金といったモデルについて語った。
インターネット利用動向を調査する米comScoreは、測定ツールを提供することでユーザーによるウェブとモバイルの利用状況を明らかにし、顧客企業がビジネスで利益を得るための支援をする企業だ。2007年に米NASDAQに株式を公開し、世界37カ国でビジネスを展開している。ウィル・ホッジマン上級副社長が、ネットビジネスを支える広告あるいは課金といったモデルについて語った。
これまで、インターネットはPV(ページビュー)ワールドと呼べる状況でした。ネット広告の測定方法はもっぱらPVだったからです。5年ほど前から動画が登場し始めました。ウィジェットなども注目の技術といえるでしょう。
動画などの広告はPVと同じようには効果を測定できません。視聴者によるサイト訪問だけでなく、滞在時間も含めて測定する仕組みを確立させなくてはいけません。(動画サイトは利益を出しにくいともいわれるが)最近になってYouTubeにも広告が入るようになってきています。視聴するコンテンツの初め、あるいは終わりの部分において、映像広告を挿入する方法などです。
考え方としてはテレビと同様といえます。その意味で、動画の登場で特に、インターネットのビジネスモデルがテレビに似てきています。現在は過渡期といえるでしょう。利用者は、コンテンツの前に流れるプリロールと呼ぶ広告をある程度受け入れ始めています。ほかにも、コンテンツの再生中にバナーを出すなどの方法もあるでしょう。こうした方法がどこまで受け入れられるのかは見ものです。
インターネットの購買パターンは、パッと目に付いたものを買うというものではありません。消費者は他人の動向を確かめ、検索し、メッセージを受け取りながら購入を検討していきます。そのせいか、メディアとして成功している企業は電子メールやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)といったツールを上手に活用してマーケティングを実践しています。ただコンテンツを掲載するだけでは十分ではありません。
今後のネットビジネスを考えるときに1ついえるのは、ユーザーが無料のコンテンツを求めている点です。基本的には今後も広告収入のモデルがネットビジネスに広がるでしょう。メディアでは、Wall Street Journalは定期購読で現状うまくいっていますが、将来的には変わるかもしれません。Timesは課金システムを廃止しました。消費者がオンラインにお金を払うのは特別なコンテンツのみといえます。逆にいえば、プレミアムなコンテンツにユーザーが実際にお金を支払っているのも事実です。(談)
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