オフィスの通信費削減でリーダーシップを発揮せよ:伴大作の木漏れ日(4/4 ページ)
友人から電話が掛かってきた。「ちょっと、相談があるんだけど時間作れないか」という内容。用件は、経費削減の妙手がないかというものだった。
サービスコーディネーター
わたしは永らく「日本にはCIOなど存在しないし、仮に必要性があるとするなら米国流のCIOとは全く違った人物が企業のICTの中核に座るべきだと考えている」という持論を持ち続けてきた。
上記したさまざまな機器は10年前ならそれぞれが独立したカテゴリーに属していて、それぞれ縦割り型のサービス形態を持っていた。しかし、TCP/IPが完全にデファクトスタンダードとなった現在、それぞれが相互に接続できるようになり、有機的な関係を保つようになった。時代は様変わりしつつある。
携帯電話オペレーターはdocomo、AU、ハンドセットはパナソニック、シャープ、NEC。固定回線キャリアはNTT、KDDI、PBXとハンドセットはNEC、OKI、PCデスクトップはDell、HP、富士通、ノート・ブックはパナソニック、Lenovo、コピー、複合機はRicoh、Xerox、Canon等代表的なベンダーは限られてきた。企業あるいはユーザーニーズに最も適応したモノやサービスを選択し、コストを最適化することが求められている。できる人材はそれ程多くないはずだ。
その人物を「サービスコーディネーター」に任命し、選択を一任する事が求められている。
最終ゴール
この数年の技術進歩により、コンピュータを取り巻く環境は、著じるしい変化を遂げてきた。上記したネットワークもそうだが、コンピュータシステムそのものがネットワークと融合し、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)やクラウドなど全く新たな概念が生まれつつある。
ファクシミリやコピーで扱うグラフィックデータ、電話が主体の音声データもネットワークコンピューティングの一環として考える時期を迎えつつある。
この動きはベーシックトレンドなので、とどめるる事など不可能なのだが、当然、その流れについていけない人や企業が数多く生まれる。その人達や企業は昔ながらの機材に頼り、新しい技術や環境、操作についていけない。それに何らかの明確な対策を打たないと企業そのものの将来を危うくする可能性さへ考えられる。新しい技術イコールコストダウンの切り札とはいわないが、その幾つかは真剣に取り組んでおかないと取り返しのつかない事態を招く可能性がある。
前記した、ファクシミリ、コピー、プリンタ等の統制を進める中でPCとの連係、それに習熟するためのトレーニング等を通し、コストダウンと社員のリテラシーを向上させることが、結局、企業の「IT経営」化を推し進める切り札になるだろう。
次の、ステップは案外身近なところにあるのだ。それが、情報システム部門のゴールと重なっている。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
関連記事
- 金融危機とIT経営(2)
経済産業省は6月「IT経営協議会」という組織を立ち上げた。同省商務情報政策局情報処理調査官平井氏に今後の方針について聞いた。 - 伴大作の「木漏れ日」:金融危機とIT経営
金融危機に世界が激震する中で、「バラク・オバマ」がアフリカ系米国人初のアメリカ合衆国大統領に選出されたことを好意的に受け止める人も多いようだ。だがユーザーのIT動向は厳しい。 - 伴大作の「木漏れ日」:IBMの新製品に見る日本のメインフレーム市場
日本IBMがミッドレンジメインフレーム「System z10 BC」を発表した。そのデータをもとに、メインフレーム市場の今後の動向を考えてみたい。 - ITとの距離感──「コンピュータのこと、俺は分からん!」
経営者はIT部門の社員自身を理解する必要など全くない。将棋の駒として、自在に使えるようにすればいいのである。ITの知識のない経営者がIT部門を掌握する方法を教えます。 - 米国発世界金融危機とノーベル賞
先週は下げ止まらない米国の株価と金融危機の連鎖がトップニュースとして話題を独占した。唯一の救いはノーベル物理学賞、化学賞の2つの部門で日本人が受賞した話ぐらいだった。 - Itaniumの将来は風前の灯か?
9月17日の6コアXeonの発表と、それに連動した各サーバベンダーの動向から、Itaniumの将来を調査してみた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.