オバマ次期大統領、ブロードバンド構想を明らかに:未来構想に基づく雇用促進
オバマ次期米大統領は、公共インフラへの投資で低迷する米国経済を刺激するという大規模な計画の一環として「情報スーパーハイウェイを刷新する」方針を明らかにした。当面の計画には、コンピュータとインターネット接続を学校および病院に配備するために連邦政府による大規模な投資を行うことなどが含まれる。
これまでもITへの取り組みを約束してきたバラク・オバマ米次期大統領。同氏は12月6日、2009年1月20日の大統領就任後に取り組む緊急経済再生計画の施策の1つとして、コンピュータとブロードバンド接続を学校および病院へ配備するという、大規模な投資を実施することを明らかにした。
オバマ氏はラジオとインターネットを通じて毎週行っている演説の中で、1950年代の連邦高速道路システムの建設以来、最大規模となる国家インフラ投資を実施すると約束した。この計画には、学校と医療分野に連邦政府のIT予算を投入することに加え、公共施設や学校のエネルギー効率を改善するための大規模な取り組みも含まれる。
オバマ氏はさらに、こういったプロジェクトのために連邦予算を各州に大量に投入することにより、250万人の雇用創出を見込んでいると語った。
「老朽化した校舎を改築してエネルギー効率を高め、新しいコンピュータを教室に配備する」とオバマ氏は語った。「わが国の子供が21世紀の経済で競争力を付けるためには、彼らを21世紀の学校で学ばせる必要があるからだ」
オバマ氏は、この計画の一環として「わが国の情報ハイウェイを刷新する方針だ。ブロードバンドの普及で米国が世界15位に甘んじている現状は受け入れがたい。インターネットを生み出したわが国においては、インターネットにアクセスする機会があらゆる子供に与えられるべきであり、わたしが大統領に就任したとき、彼らにその機会が与えられる。それが世界の中で米国の競争力を強化することになるからだ」と付け加えた。
学校および図書館をブロードバンドで接続するのに加え、オバマ氏は医療分野のIT化推進も約束した。これは、ブッシュ大統領も医療費の大幅削減に向けた重要な施策として推進してきたものである。しかし、ブッシュ氏の医療IT化構想はコストやセキュリティ、プライバシーをめぐる懸念から行き詰まっている。
「わが国のすべての診療所および病院が、最先端の技術と電子カルテを利用することにより、煩雑な業務を簡素化し、医療ミスを防ぎ、毎年何十億ドルもの経費節減を実現するつもりだ」とオバマ氏は語った。
オバマ氏は、これらの構想に投入する予算を明らかにしなかったが、12月6日の「Meet the Press」という報道番組でホストのトム・ブロコー氏に対して、「連邦政府の1兆ドルに上る赤字への対策は、わたしの政権の緊急課題にはならないだろう」と語った。
「患者の容態を安定させるために、今すぐ輸血をしなければならないのは明らかだ。これは、当面、財政赤字のことを気にする余裕がないことを意味する」とオバマ氏は述べた。「われわれにとって重要なのは、景気を浮揚させることである。これは短期的な対策、当面の雇用創出だけでなく、わが国を長期的に持続可能な経済成長の軌道に乗せるものでなくてはならない」
人権団体Free Pressの執行ディレクター、ジョッシュ・シルバー氏は、経済再生計画の一環としてITプロジェクトを含めたオバマ氏の決定を評価している。
「21世紀の社会では、高速で安価なインターネット接続はもはや贅沢ではなく、必須の公共基盤である」とシルバー氏は発表文で述べている。
「しかし、現時点では米国家庭の40%以上がブロードバンドに接続されていない。このデジタルデバイドは、グローバルなインターネットリーダーとしての米国の地位を低めているだけではない。緊急に必要とされている雇用とお金にも悪影響を及ぼしているのだ」(同氏)
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