携帯電話のリテラシー教育を真剣に考えるときが来ている:ネットの逆流(6)(2/2 ページ)
学校で携帯電話を禁止しても必ずしも問題は解決しない。大人も含めて、携帯電話の使い方、マナーについて改めて学ぶべき時にきているのではないだろうか。
携帯リテラシー教育を
ネットエイジアは大阪府の保護者に対して「あなたの子どもはケータイ依存だと思いますか?」というアンケートも行っている(関連記事)。
その結果「思う」が12.0%、「やや思う」が22.2%。つまり、34.2%の保護者が、子どもはケータイ依存であると認識している。保護者自身についてたずねると「思う」が5.2%、「やや思う」が25.6%。結果として30.8%が、自分はケータイ依存である、という認識を持っていた。
さらに、親子で携帯電話を所持し、自分がケータイ依存であると思う保護者のうち、子どももケータイ依存であると思う人は45.5%。自分はケータイ依存ではいと思う保護者のうち、子どもがケータイ依存と思うのは27.0%だったという。子どもは親の背中を見て育つということだろうか。
実態を見ると、「ケータイ依存」という言葉以上に心配だ。このアンケートでも、子どもが携帯を持つことで不安・心配な点は「出会い系などの有害サイトへの関与」が75.2%、「学校裏サイトやプロフ、掲示板での誹謗中傷・イジメ」が72.6%、「迷惑メールやワンクリック詐欺などの被害」が67.0%、「ケータイを使った犯罪に巻き込まれること」が62.2%と、子どもが外部から受ける影響がかなり悪質になっている。
その次に、「高額な利用料金」「依存による学力の低下」「ゲームのやり過ぎ」「利用時のマナー」の順に続く。携帯電話を所持している保護者よりも、持っていない保護者のほうが心配する度合いが大きい。「料金」以下に関しては差がさらに広がっている。確かに、持っていない人ほど、料金が高額という印象を持っているのかもしれない。
さて、携帯電話から起こる問題を排除していくための方法は何か。橋下知事が指摘するような「携帯電話の禁止」も1つである。学校の中だけでなく、24時間遮断できれば携帯電話から派生する問題は起きようがない。だがそれは非現実的である。ではどうするか。学校、家庭、地域社会、キャリアも参加して、携帯電話に関する教育をしていくことだ。
ソフトバンクモバイルとNPO法人の企業教育研究会は12月10日に、小中学校に携帯電話の使い方に関する教材の無償配布プログラムを開始した。教材は日常生活での携帯電話の利用方法やトラブルについて、映像を交えて学べるようになっている。教員向けの指導案内冊子や授業で使えるプレゼンテーション資料なども提供するという。
今年5月の話だが、政府の教育再生懇談会は、小学生に携帯電話を持たせる場合の規定として、メール機能がなく、通話とGPS機能だけを搭載した端末を持たせるべきという見方を示している。こうした端末の開発事業者に補助金を出すなどの考えも示している。
アイデアは出始めているが、キャリアや国が主導する動きをもっと活発化してもいいのではないか。いまとなっては、携帯電話は電話を超えた新たな情報ツールになった。安易に子どもから携帯電話を取り上げるよりも、教育をして、子ども自身が携帯電話の健全な利用環境を運営できるようにした方が、携帯電話市場など産業への影響を考えても前向きといえるかもしれない。
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