ウイルスもワームもさようなら――歳末、PCの大掃除だ!:悲しき女子ヘルプデスク物語(4/4 ページ)
仕事納めの日には、1年間お世話になったオフィスをキレイに掃除する社員が目立つ。わたしたちヘルプデスク部門だって、サーバルームに初詣でしちゃうことがないよう、しっかりと情報システムを「大掃除」しなくちゃね。
大切なのは、自分が危機にさらされているという危機感を持つこと
そういえば、ちょうど1年前にトレンドマイクロが、USBメモリを媒介手段としたウイルスに対してこんな警鐘を鳴らしていた。
つまり、USBメモリが感染源になるようなウイルスに対して、ウイルス対策ソフトメーカーが注意を促し始めたのは昨年からってことなのだ。これを見て、愉快犯が開発したのか、それともこの記事が出る前から危なかったのかは定かでないけれど、確かなことが2つある。それは、危機が現実にならないと多くの人は動かないということ。そしてもう1つは、危機が現実になってからでは遅い、ということだ。USBメモリが媒介するウイルスについては、危機が認知されてからそれが現実のものとなり、社会に影響を与えるようになるまでに1年かかったことになる。この「1年」は早いのだろうか。遅いのだろうか。わたしたちに、根本的な危機意識がない証拠じゃないかしら。
トレンドマクロのサイトでは、最新の記事も公開されている。こちらにも目を通しておこう。
年末に向かって社内がバタバタし始めた、12月中旬。Internet Explorer 7(IE7)にセキュリティホールが見つかり、緊急のアップデート指示が出た。社内のWebアプリが正常に動作するかのチェックを一通り終えて、IE7のアップデートを促す。こういうことは別に珍しいことじゃないけれど、12月に起きたっていうだけで、なんだかせわしい気分。こういう気分を「師走」って表現した昔の人はすごいなどと妙なところに感心するわたし。
その気ぜわしいさなかに、いつも何かとトラブルを持ち込む親戚の叔母が、今年最大の失敗をしでかして、連絡してきた。もっとも、本人は失敗したという意識はこれっぽっちもなかったんだけど。
その最大の失敗が分かったのは、叔母からの「年末にPCも大掃除したしたほうがいいって言うから、この間、綺麗に掃除したのよ」との電話がきっかけだった。
変なことをしてなきゃいいんだけど……。どういった掃除をしたのか念のために確認するわたし。キーボードや液晶画面を拭いたとか、いらないファイルを削除したなどといった話の後、「いらないソフトも消した」と言い出した。果たして叔母に、不要なソフトと必要なソフトを区別できるのだろうか。でも、それは口に出せない。すると叔母は次の瞬間、私がひっくり返るような、決定的な一言をのたまった。
叔母 そういえば、ウイルスに感染したってメールが来たのよ。
な、なんですってー!
叔母 でね。今、パソコンに入っているウイルスソフトでは対応できないって書いてあってね。新しいのを買ったほうがいいとも書いてあったの。クリックしたホームページから取り寄せられるなんて、便利な世の中ねぇ。
あちゃー。
叔母 古いウイルスソフトは、えっと、あ、あん、アンビリーバボーだっけ? 自分で消せたわよ。いつもあなたに任せっぱなしだけど、今回は自分でできたわよ。
アンビリーバボーって、AntiVirusのこと? わたしにとってはアナタのことだよ!
それにしても、うかつだった。会社のことばかり考えていて、叔母にそういう「振り込め詐欺」みたいなのがあるってこと、伝えてなかったわ。さて、ウイルスに感染しちゃったか、それともバックドアやキーロガーなどが仕掛けられたのか……。わたしは、おばに聞こえないように大きなため息をつくと、急いで彼女の家に向かった。対策すべきなのは、社内だけではなかったのね……。
それでは皆さん、良いお年を!
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