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消費者の買い控え傾向は追い風だ「2009 逆風に立ち向かう企業」カカクコム(2/2 ページ)

価格比較サイトを運営するカカクコムは、景気後退により買い控えが鮮明になりつつある消費者の「買い物を失敗したくない」という心理をすくい上げ、右肩上がりの成長を続けている。安田幹広取締役COOは「商品に対する消費者の目は鋭くなる傾向にあるが、これは追い風だ」と言い切る。

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ITmedia 消費者の興味の移り変わりは早いです。新しいサービスを欲しているかもしれません。2009年はどういったビジネスを展開しますか。

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安田氏は「Amazonは実際に物を売る、私たちは物を売るまでのガイド役。購買意識が高いユーザーを各店舗のサイトに送ることにかけては、Googleの検索エンジンにも劣らない」と力を込める

安田 今の情勢を見ていると、既存のサービスを強化していくことに加え、新しいサービスを積極的に作る必要があります。ですが、やみくもに新たなサービスを出し続けるという風土はカカクコムにはあまりありません。食べログが軌道に乗るまでに3年を要しました。消費者のニーズをとらえないまま、新しいドメインのサービスを立ち上げることが利益に直接つながるとは考えていないのです。

 それを踏まえ、価格.comの強化に引き続き力を入れます。PCやカメラ、家電といった分野が成長のドライバであることに変わりはありませんが、それ以外のカテゴリーも訴求していきたい。耐久消費財の占める割合は総流通額の2割程度といいます。食品や飲料、インテリアなどの残り8割のカテゴリーでも購買支援ができれば、ユーザーの満足度向上につながり、ページビューやユニークユーザーを今の倍以上獲得できると考えています。

 機能面では、検索エンジンの改良です。今は本のタイトルを1字間違うと検索結果に反映されません。Amazonでは検索できるけど、価格.comでは探せないといった恥ずかしい状態です。言語解析技術を駆使して、こうした部分を改善していきたいです。

ITmedia カカクコムが対象とするユーザーは、一般的な消費者ということで揺るぎませんか。

安田 そんなことはありません。今年はエンジニア向けのニュースや技術情報をユーザー同士で共有できるコミュニティーサイト「okyuu.com」を開設しました。システム導入に携わるユーザーが製品を比較できるサイト作りを目指しています。ハードウェアやシステムを比較できるサイトはほとんど存在しないので、価値のあるサイトだと考えています。2009年には20〜30万のユニークユーザーを目指し、ゆくゆくはokyuu.comを一人前にしたいです。

ITmedia エンジニアやシステム管理者に対して特別な思い入れがあるのでしょうか。

安田 日本IBMが1000人規模のリストラを敢行するなど、日本のIT業界が金融危機の影響を受け、雇用の受け皿が十分ではない状態が続いています。SaaS(サービスとしてのソフトウェア)やクラウドコンピューティングなどが今年に入り脚光を浴びていますが、IT業界全体は飽和状態にあります。国内のベンダーは米国が新しい製品を作らないと売るものがないといった根本的な問題を抱え続けています。

 こうした時こそ、エンジニア主導で日本から新しい動きを起こさないといけないと思うのです。okyuu.comで情報やノウハウの共有を図り、埋もれた才能を引き上げていく。情報交換が活性化すれば人の流動も活発になり、誰もがあこがれるようなエンジニアが生まれる可能性だってあります。

 まだ日本では先進的なIT企業は出てきていませんが、ローカライズ屋になるだけでなく、誰かがこの問題に切り込んでいかないといけないでしょう。

ITmedia 最後に2009年の個人的な目標をお聞かせください。


安田氏

昨年以上にたくさんの方と交流したいと考えています。異業種の方に積極的に会うことで、仕事もプライベートも幅を広げたいです。

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