ブログやWikiの利用は1割以下、情報伝達の肝は電子メールの強化:Web2.0系ツールの採用は進まず
国内企業における情報伝達の手法についてITRが調べたところ、電子メールの利用が対面や電話によるやり取りを上回った。IT投資の縮小傾向が見られる中、企業の競争力を高めるためには電子メールの機能を充実させることが現実的としている。
ブログやWikiなど、社員同士の情報伝達ツールは増えているものの、企業では電子メールや対面でのやり取りを重視している――調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)が1月6日に発表した調査で、国内企業のコミュニケーション手法の実態が明らかになった。
同調査によると、国内企業では情報の伝達に「電子メールにファイルを添付する」方法が対面や電話を上回った。ファイルの添付は、企業内で81%、企業間では87%が利用している。
企業内におけるコミュニケーションの手法として、「対面のミーティング」(65%)、「電話(二者間)」(62%)、「紙文章で共有」(62%)、「電子メール」(61%)が続いた。企業間では、「電話(二者)」(72%)、「電子メール」(69%)、「ファックス」(59%)が上位を占めた。
ブログやインスタントメッセージング、Wikiといったツールはいずれも1割以下の利用にとどまり、「Web2.0」系ツールの採用には慎重を期している企業が多いことが分かった。対面での情報伝達や電子メール、ファックスを使った従来通りのコミュニケーション手法が依然として主流であることがうかがえる。
ITRは、ITを活用したコラボレーション環境の充実が企業競争力を高めるものの、新たなIT投資は厳しさを増すと予測。新たなツールでなく、最も利用頻度の高い電子メールのコラボレーション機能を強化することが、短期的かつ現実的なやり方だと述べている。
2008年10月に調査を行い、ユーザー企業の「文書作成/管理ソフトウェアの選定や購入」に対する意思決定者などにアンケートを実施した。有効回答数は700件。
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