ハッカー御用達か Twitterの功罪:ネットの逆流(9)(2/2 ページ)
時にはマスコミよりも早くニュースを伝えるTwitter。だが同時に、ハッカーたちにとっても魅力的なツールとなってきている。被害にあわないためにはどうすればいいのか。そしてTwitterの今後はどうなるのか。
拡大するTwitterが狙われる?
Twitterのアクティブユーザーは、1年間で7倍にもなった。昨年4月の段階では、メインストリームには至っていないとされていたが、2009年に入った現在ではその認識も改める必要があるかもしれない。
その勢いは、ブログツールのベンダーも動かしている。米Six Apartは2008年12月15日、「Movable Type Pro」の機能を拡張する「Motion」のβ版を提供開始。これにより、Movable Type上で、Twitterなども表示できるようになるという。
また同じ日に米Twitterと米Googleは、Googleのログイン情報共有技術Google Friend Connectに、Twitterが対応すると発表している。また、米Twitterは11月24日に、付せん紙風のアプリケーション「Stikkit」や、個人向け生産性向上アプリケーション「I Want Sandy」などで知られる新興企業Values of nの資産を買収、7月には検索企業Summizeを買収するなど、機能の拡充にも積極的だ。
日本でもTwitterに関する動きはある。デジタルガレージの子会社・DGインキュベーションは11月5日、「Twitter」日本版独自の機能として、特定のテーマごとに話題を共有できるコミュニティーサービス「Twicco」(ついっこ)α版を公開している。8月22日には、はてなが、TwitterのAPIと互換性を持たせた「はてなハイク」のAPIとブログパーツを公開した。
さらに2009年に入ってからも、Twitterを巡る新しい展開は続いている。
1月12日には米Mozilla Corporationの研究部門Mozilla Labsが、Firefoxのアドオン「Snowl」をアップデートした。これにより、Twitterへメッセージ送信が可能となっている。
1月14日に公開された「Twitrans」は、無料でTwitterメッセージを翻訳するサービス。日本語を含む14ヶ国語に対応しているが、人力で翻訳されるため、機械翻訳よりは利用価値が高そうだ。
このように、ユーザーが増加し、周辺の環境が拡大していくTwitterが、ハッカーによって狙われる可能性は高い。といっても、フィッシング詐欺などの手口自体は以前から変わっていないものであるため、ユーザーが注意しながら利用すれば被害は防げると考えられる。
Twitterの今後は、ビジネスユースでの活用が期待されている。社内での利用に関して議論が噴出している点は変わらないかもしれないが、逆に社内での利用を推進する動きも活発になるだろう。企業の広報や、イベントなどの実況中継など、すでにビジネス利用は始まっている。
ITmedia オルタナティブ・ブログのブロガーで、モディファイCEO兼クリエイティブディレクターの小川浩氏は、「Speed Feed」のTwitterを知らないオトナ達へーWebのストリーム化の兆候を見逃すな!というエントリーで、ビジネスユースでも見逃してはならないと指摘している。逆にコメントにおいて、新しいWebの潮流ではあるが、セカンドライフ的のブームに過ぎないという指摘もつけられている。
2009年は、Twitterがインターネットの世界をけん引していくことになるのか、それとも一過性のブームで終息していくのか。これからの動きに注目していきたい。
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