「もはや買収だけの企業ではない」――InforCEOの自信
米Inforのジム・シェイパーCEOは「Inforum Japan 2009」で講演した。自社の成長は、ERP企業の買収だけでなく自社開発の製品にもよると強調した。
「2015年のビジネス状況を予測できる企業はない」――来日した米Inforのジム・シェイパー会長兼CEOは、2月6日に開催した「Inforum Japan 2009」で強調した。これまで買収を通じて規模を拡大してきたが、今後はSOAを基盤にした製品戦略の優位性で勝負する考えだ。
Inforは2002年の創業以来、旧Baanを買収したSSA Global、MAPICS、EXE TechnologiesなどといったERP企業の買収を繰り返してきた。製品戦略の統一性を疑問視する見方もある中で、シェイパー氏は2008年10月に米国で開催した自社イベントで「今後4年間で、新規開発に3億2500万ドルの投資をする」と宣言した。
「Inforは買収だけの企業ではない。2002年の創業当初から、売り上げの約12%を研究開発に当てている。買収だけの企業は研究開発に投資しない」と自社製品の開発に注力することを改めて明らかにした。
自信の源は2008年に全貌を明らかにしたInfor Open SOA戦略だ。
Open SOAはInforの製品だけでなく、他社の製品ともシステム連携できるのが特徴。メインフレームなど既存の仕組みを置き換えることなくシステムを刷新でき、分散したサーバ環境やプロセスをネットワークを介して管理できるため、相互運用性も向上する。
「生き残るのは俊敏性や適合性に富んだ企業」とシェイパー氏。Inforは、顧客企業のシステムをSOAを基盤にした「ビジネスネットワーク」として再構築し、バラバラではなくチームを組んでビジネスを展開できるようにする。
日本インフォアの村上智社長は「昨今の経済情勢はますます厳しくなってきている」と話す。予算や投資の見直しや凍結、プロジェクトの延期を迫られる企業が増えているという。だが企業が従来から抱えている課題はなくならないと指摘する。例えば、海外展開する企業は、従来から抱えているグローバルでの経営の可視化やITガバナンスを進める必要がある。
この状況下では「短期間かつ低コストでシステムを構築する工夫が必要」と村上氏。従来のような十億円単位の投資や、完了までに1、2年の期間を要するプロジェクトを実施する余裕は企業にないという。
「全面刷新にこだわらず、部門最適による経営の可視化も支援できる」と自信を見せた。
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