不審者を自動認識、音声で注意 中銀、ATMに振り込め詐欺防止システム:13日の年金支給日に取り組み強化
中国銀行は振り込め詐欺を防止するシステムをATMに導入し、稼働を開始した。ポスターやステッカーで注意を促してきたが、手口の巧妙化により被害拡大の防止を強化する必要があると判断した。
中国銀行は2月13日、振り込め詐欺を検知するシステムをATM(現金自動預払機)に設置し、稼働を開始した。ATM周辺に専用のカメラやマイクを取り付け、不審者を自動で認識し、音声で注意を促す。2カ月に1度の年金支給日である2月13日に合わせてシステムを稼働し、詐欺防止への取り組みを強化する。
同システムは、携帯電話を使いながらATMを操作する利用者や、マスクや帽子で顔を隠した不審者を判断し、「携帯電話の使用をやめてください」「マスクを取ってください」といった自動音声で注意を呼び掛ける。
ATMの周辺に設置したカメラやマイク、小型スピーカーで不審者の映像と音声を拾い、「目線がはっきりしない」など、あらかじめ設定した複数の要件と照らし合わせて、不審者を判断する。「不審者に判定されないように、複数の要件を設定」(セコム広報)しており、インフルエンザ対策などでマスクをしている人を不審者と判断しない仕組みになっているという。
記録した画像や音声はシステムを提供したセコムの画像監視センターに送られる。センターの職員が映像に映っている人を不審者と判断した場合は、スピーカー経由で直接注意を促す。また、ATMの設置管理者や金融機関の担当者に状況を連絡することで、同銀行の行員や警察官、警備員が不審者に直接注意することも可能だ。
システムの設置場所や台数は、防犯上の理由から公表していない。
同社はこれまで振り込め詐欺への注意喚起として、ポスターやステッカーを店舗に掲示したり、ATMの画面上に注意メッセージを表示したりしてきた。詐欺の手口が巧妙化してきたことを受け、被害拡大を防ぐ対策の強化に努めた。
セコムは、この仕組みを「振り込め詐欺防止システム」として、2月12日に発売している。価格は80万円程度。1年間で1万台のATMへの導入を目指す。
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