4QのPC出荷台数は3.7%増、ミニノートで盛り返すも企業向けPCは厳冬:コンシューマー、企業市場で明暗
ミニノートPCの好調が国内のPC出荷台数を押し上げ、4Qは前年同期の3.7%増になることがIDC Japanの速報で分かった。一方で景気悪化に伴う出費控えで、企業向けPCの市場は苦戦を強いられそうだ。
2008年10〜12月(第4四半期:4Q)における国内のPC出荷台数が、前年同期の3.7%増の346万台になることが調査会社IDC Japanの速報発表で分かった。コンシューマー向けの低価格のミニノートPCの需要が活性化しプラス成長を導いた。一方で企業向けのPCは落ち込んだ。今回の発表は出荷台数の速報のみ。
PC出荷台数が増加した要因はミニノートPCの好調さ。国内での出荷台数は40万台となり、2008年3Qの約30万台から10万台を積み上げた。ミニノートPCを含めたポータブルPCの出荷台数も、前年同期比24.7%増と大幅に伸びた。
世界市場の4QのPC出荷台数は同1.9%減の7621万台と苦戦を強いられる中、日本の成長率は堅調だった。プラス成長を記録したヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)の2.2%と比べても、高い成長率を示した。
IDCは2009年1〜3月期(1Q)について、コンシューマー市場の出荷台数はミニノートPCの影響でプラス成長を維持するが、企業向け市場は低迷すると予測。IDC Japanのパーソナル・コンピューティングの片山雅弘グループマネジャーは「4Qは金融危機以前に受注した案件の出荷などで前年同期比11.8%減にとどまった。しかし2009年1Qは、年度末の決算を控え出費を抑える企業が増えるため、2009年の中で最も厳しい状況になる」とコメントしている。
ベンダーシェア、前期と変動なし
2008年4QのベンダーのPC出荷台数のシェアは、前期と変わらなかった。トップはNECで、前年同期比4.2%増と出荷台数を伸ばした。景気悪化以前に受注したPCの出荷があり、企業向け市場の落ち込みを防いだことが要因に挙がる。
2位の富士通は、前年に比べマイナス成長。春モデルのPCを年末に前倒しで出荷したため、コンシューマー市場のシェアは1位を獲得した。以下、3位のデルは企業向け市場が落ち込みマイナス成長、4位の東芝は2期連続の二けた成長、5位のHPは8期連続二けた成長となった。
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