日本で苦戦する「パッケージ型」のシステム開発:5年後も主流は変わらず
国内におけるシステム開発は、手組み開発や受諾開発を中心とした「スクラッチ型」が主流であることが分かった。ミック経済研究所調べ。
国内におけるシステム開発は、手組み開発や受諾開発を中心とした「スクラッチ型」が主流であることが、調査会社のミック経済研究所の発表で分かった。
ミック経済研究所によると、システムの中核を担うアプリケーション開発について、国内の市場規模は、2008年度で11兆7700億円と予測。その手法を大別すると「スクラッチ型」が8兆5484億円(72.6%)で4分の3弱を占めた。一方「パッケージ型」は3兆2220億円(27.4%)にとどまった。
2013年度にはスクラッチ型が9兆3109億円(68.7%)、パッケージ型が4兆2460億円(31.3%)の市場規模になる見通しで、アプリケーション開発の主流は5年後も大きく変化しないとみられる。
国内企業でスクラッチ志向が根強いのは「業務フローをパッケージ製品に合わせるのではなく、業務フローに合わせてシステムを構築することを好むため」とミック経済研究所は説明する。不採算案件になる比率が低く「平均打率が高い」(同)パッケージ型は欧米で浸透しているものの、「特に金融・公共・通信分野では大手のユーザー企業が限られており、パッケージ製品を使うと同じサービスになる。独自性を出すために、スクラッチ開発を採用する企業が多い」(同)ことなどから、国内では依然としてスクラッチ型が支持を集めている。
同調査はITベンダー57社に対し、パッケージ型、スクラッチ型の開発における営業利益率やサービスの売上高などを聞いたもの。調査期間は2008年3月から11月。
※同調査では、情報システムの中心となるアプリケーション部分をパッケージソフトウェアで開発する場合を「パッケージ型」、パッケージソフトウェアを使わずにゼロから開発する場合を「スクラッチ型」と定義している。それぞれにはコンサル、ソフトウェアの販売、開発サービス(カスタマイズ)、運用支援、教育研修、ソフトウェアの保守などのサービスが含まれている。
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