クラウド時代のサバイバル競争に突入:ニュース解説 OracleがSunを買収
米Oracleが4月20日(現地時間)、米Sun Microsystemsを買収すると発表した。Oracleの狙いは何か。IT市場にとって何を象徴する動きなのか。
米Oracleによる米Sun Microsystemsの買収は、エンタープライズ領域でソフトウェアベンダーがハードウェアベンダーを手中に収めるという前代未聞の出来事となった(ニュース記事)。
これまでソフトウェアベンダーは、ハードウェアベンダー各社と幅広く協業することでビジネスの拡大を図ってきた。その代表格であるOracleがSunの買収に踏み切った背景には、クラウドコンピューティング時代へと移行しつつあるIT市場の大きな変化のうねりがある。
その意味で今回の買収劇は、クラウド時代に向けたサバイバル競争が本格的に始まったことを象徴する動きといえそうだ。
OracleはSunを買収することで、エンタープライズサーバをはじめとしたハードウェアやOSといったプラットフォーム製品を手に入れた。これらと自社で持つソフトウェア群を合わせれば、クラウドサービスを提供するための構成要素がほぼそろった格好となる。
Oracleは今後、Sunを手中に収めたことでほかのハードウェアベンダーと競合する局面も出てくるだろうが、それは覚悟の上だろう。クラウド時代に向けて、これまでと同様ソフトウェアベンダーとして生き抜くのか、それともトータル事業に乗り出すのか。その選択に、Oracleは今回の買収で答えを出した。
一方、これまで米IBMなどと瀬戸際の交渉を続けてきたSunにとっては、好ましい結果となったようだ。同社のスコット・マクニーリー会長が今回の買収発表に際して「自然な流れ」とコメントを寄せていることからも、胸をなで下ろしている様子がうかがえる。
まだ第一報なので詳細は不明だが、焦点となるのは具体的な買収形態だ。端的にいえば、OracleがSunの事業をすべて取り込むのか、それともSunを子会社として存続させるのか。ソフトウェアでは重複している事業領域もあるので、そこはOracle主導で融合・整理するものとみられる。Javaについても、すでにOracleのミドルウェアなどの基盤にもなっているので、さらなる活用へてこ入れが図られるだろう。
注目されるのは、ハードウェアとOSのプラットフォーム事業をどう展開していくかだ。OracleにとってはここがSun買収による最大のビジネスの攻めどころとなるが、一方で、ともすれば足かせになりかねない。とりわけ開発資金がかさむSPARCサーバ事業をどのようにドライブしていくか。この点ではSunとSPARCサーバを共同開発している富士通との間で、新たな提携形態が浮上してくる可能性もあり得る。
Sun買収でソフトウェアベンダーからの脱皮を図ったOracle。ラリー・エリソン会長の“天下獲り”がいよいよ始まった。
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