ゼットスケーラー、SaaS型セキュリティサービスを本格展開へ:HTTP/HTTPSのスキャンに特化
SaaS型セキュリティ専業ベンダーのゼットスケーラーは、6月から企業向けサービスを本格提供すると表明。企業ニーズに合わせたクラウド型サービスを用意できるのが特徴だという。
SaaS(サービスとしてのソフトウェア)型セキュリティ専業ベンダーのゼットスケーラーは5月25日、企業向けセキュリティサービスを6月から本格展開すると発表した。企業が求める形態に応じたクラウド環境を提供できるのが特徴だという。
同社は米Zscalerの日本法人として今年4月に設立され、シスコシステムズ傘下のアイアンポートシステムズ前社長の原田英明氏が代表に就任した。Zscalerは2007年に米カリフォルニア州で設立し、SaaS型セキュリティサービスを今年1月に開始した。
同社のサービスは、80番および445番ポートを介したHTTP/HTTPS通信に特化して、ウイルス/スパイウェア対策や振る舞い検知、URLフィルタリング、Webメールセキュリティ、アクセス制御、情報漏えい対策のセキュリティ機能をネットワーク経由で提供。全社規模やグループ、ユーザー単位でのポリシー設定や分析、リポーティング機能も提供する。
Zscalerのジェイ・チャウダリCEOは、「ユーザートラフィックへの影響を最小限にしつつ、包括的なセキュリティ対策を少ないコストで実現できることを目的にサービスを開発した」と狙いを説明した。
同社ではサービス用のデータセンターを世界各地に開設し、国内では東京に設置済み。ユーザーの通信を同社のデータセンターを経由させる仕組みで、HTTP/HTTPSで交わされるすべての通信内容をスキャンする。トンネリングによって独自のプロトコルを利用するアプリケーションにも対応する。「Fast Proxy Server」という独自技術を使用し、スキャンの高速化と膨大なトラフィック処理を可能にしたことで、SaaS形態でのサービス提供を可能にしたという。
現在までに48社の企業が利用し、最大のユーザー規模は約3万ライセンスで、数千ユーザー規模の利用が多い。通常のサービスではファイアウォールの設定を変更するだけですぐに利用できるといい、ニーズに応じて企業が独自に構築するプライベートクラウド型のデータセンターへの実装や、インターネットサービスプロバイダーなどが提供するマネージド型サービスにも対応できるとしている。
チャウダリ氏は、「顧客対象の規模や業種は問わず、クラウド型であればどのような形態でも可能」と説明した。
国内ではシステムサービスのノックスが販売を行い、ユーザーインタフェースの日本語化などを含めて6月から本格提供する。URLフィルタイングでは国内企業と提携して国内ユーザー向けのセキュリティ機能を強化する。利用料金は年間契約を基本に、利用する機能やユーザー、契約期間によって異なるが、参考価格は基本サービス(ウイルス/スパイウェア対策、URLフィルタリング)を利用する500人規模の企業の場合で、1ユーザーあたり年間6000円になる。
ゼットスケーラーの原田氏は、「新しい脅威が毎日出現する状況になり、長年アプライアンスを販売してきた経験から見ても、ハードやソフトを買い足して対策を強化するという伝統的な方法は現実的ではない。SaaSを利用することで、新しい脅威に最小限のコストで対抗できるメリットは大きい」と話している。
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