SAPジャパン、会社の「弱点や問題点」を素早く発見するBIツールを発表:分析の切り口を見つけ出す(2/2 ページ)
SAPジャパンは6月9日、ビジネスデータを瞬時に検索し、的確な意思決定を支援するBI新製品、SAP BusinessObjects Explorerを発表した。
日常のデータ分析、レポート作成が変わる
イルグ氏に続いて登壇した、ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長の福田 譲氏は経営層、およびマネジメント層の業績データ分析の実際について次のように話す。
「おそらく日常業務の中で、『さあ、今日はデータ分析をするぞ』と身構えて作業をする人はほとんどいない。他の業務もこなしながら、Excelの達人のようなスタッフの手を借り、『こんな資料をつくってくれないか』と依頼するケースが多いだろう。そして上がってきたレポートを見て、さらに修正を依頼するなどして会議に必要な資料、自分のアイデアを示すレポートを作り上げていく。しかし、修正を加えていく上でExcelの達人は自分の手元にないデータを関連部署に頼むなど、多くの作業が発生するケースが多い。こうして、時間は経過していき意志決定は遅れていく」
福田氏によれば、Explorerを使うことで経営者やマネジャー自身が、日常使用するビジネス用語を使って関連のレポートを瞬時に作成することができるので、意志決定のスピードが飛躍的に向上するという。例えば、営業マネジャーは四半期の業績が良好であったことを示すレポートを得つつも、改善分野を特定したいと考えているかもしれない。基礎資料をもとに意志決定にさらに役立つデータを手にしたいというとき、今後は、各地域の成長や製品単位の収益性、顧客担当者の業績を詳細に素早く調べられるようになる。要するに、問題点の発見とそれに関連する数字と人の情報がすぐに手に入れられるというわけだ。
Explorerは現在、SAP NetWeaver BW上のデータを対象に検索する。2010年をめどにオープン化を進め、NetWeaver BW以外のソースも検索対象にできるようになるとのことだ。また、BIが業務の現場で継続的に活用される条件の1つとしてレスポンスの速さが挙げられる。今回の発表で、Explorerと同時に紹介されたSAP NetWeaver Business Warehouse Acceleratorは、数十億件というデータから瞬時に必要なデータを検索するパフォーマンスを支えるオンメモリ型のアプライアンス製品。導入も1〜2週間で完了するという。
福田氏はユーザーに対して、アドホックなレポーティングを行うWeb Intelligence、さまざまな報告業務に使用するCrystal Reports、経営ダッシュボード機能を持つXCelsiusといったSAP BusinessObjectsシリーズ製品を適宜活用するなかで、同時にExplorerを利用することを推奨していくと話す。素早く経営の問題点を把握する際にExplorerを使い、そこで得られた切り口を使って他のBI製品で経営戦略立案を進めていくということだろう。
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