日本のIT業界を救いたい――ヘッドストロングの北添氏:「コンサルTV」動画企画
不況の中で企業を助けるのがコンサルタントの仕事だ。コンサルタント専門有料動画サイト「コンサルTV」と連携し、トップコンサルタントのノウハウや仕事への思いを動画を交えて伝える。
ハーフエコノミーと呼ばれる経済環境の中で、企業は生き残り策を模索している。実際には、トンネルを抜けた後、ライバルへの明確な差別化要素を身につけるのが不可欠になってくる。戦略系、システム系、会計系を問わず、そんな時に企業を助けるのがコンサルタントの仕事だ。今回は、IPパートナーズが制作する日本初というコンサルタント専門有料動画サイト「コンサルTV」と連携し、トップコンサルタントのノウハウや仕事への思いを動画を交えて伝えていきたい。
1回目は、外資系コンサルティングファームであるヘッドストロングでバイスプレジデント兼プロフェッショナル派遣カンパニー代表を務める北添裕己氏に聞いた。北添氏は、前職のアクセンチュアを含めて20年にわたってITマネジメントや、IT診断、IT組織改革、CRMなどを手掛けてきた。(以下、北添氏の談話)
日本のIT業界を救うのが夢です。今のままでは駄目です。残念ながら不況という言葉がつきまとっていることも確かです。
例えば、クライアント企業でもリストラの嵐に飲まれてしまう人もいる。従来のクライアントが突然いなくなってしまう。バイヤーがいなくなってしまうので、そのプロジェクトも解散、中止ということになります。そんな中でも、コンサルタントして最高の価値を顧客に提供することを考えなければなりません。これはわれわれの使命です。
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グローバリゼーションは日本企業の鍵になります。これほど戦略的に何かを仕掛ける機会はないため、コンサルタントとしてこれを手伝いたいと考えています。背伸びをし過ぎてもいけません。顧客企業の身の丈に合った投資規模を見つけ、正しいプロセスに導かなくてはいけません。
そんな中で現在、われわれコンサルタントやコンサルティングファームの存在そのものが揺らいでいます。やはり、コンサルタントフィーというものは「コスト」です。絶対投資ではありません。コストである以上、顧客にとってできればいなくなった方がいい存在です。すなわち必ずお別れが来るものです。早いに越したことはないのです。
コンサルタントの存在を例えるなら、スペースシャトルが大気圏を抜けて宇宙に出るために必要不可欠な補助ロケットのようなものです。ないと宇宙に出られないが、出た後は必要なくなるというもの。だから、「飛び出したい」と思ったときにわたしたちを使ってもらって、目標地点に到達したら「さようなら」と言って去っていくような存在になりたいのです。
今後の目標は、戦略系コンサルティングファームとしての地位を確立することです。例えば、マッキンゼーなどの戦略系ファームが経営戦略を作成した後に、ビジネスケースという戦略の実行単位を作り、それを実行していきます。その延長線上にIT、情報システムを作ろうという話が出てきます。しかし、実際はその1つ前の段階として、ビジネス戦略とITを橋渡しするような役割が必要になります。われわれはそれを売りにしていこうと思っています。
システム構築そのものは他社に委託していますが、顧客の戦略が本当にITや業務プロセスなどに正しく反映されて、効果を生むような仕組みに変革するために、指示、連携、連絡あるいは運営管理をする必要があります。そうでなければ結局完成しません。
「戦略企画書」というものは、そんな丁寧なところまで普通書かないので、それをちゃんと次のステップに向けて書いてあげるというか、翻訳してあげる人が必要なのです。立派な戦略レベルの仕事だと思っています。
プロフェッショナル派遣業の立ち上げ
2008年4月から派遣や紹介の認可も取って、スタッフィング自体をビジネスとして追加しました。まさに人材資本の商売ということで、そこは結構これから力を入れたいとは思っています。基本的にITに関わるプロジェクトに対して人を派遣しています。
例えばエンジニアが足りないという悩みを持つ企業があった場合。通常のビジネスコンサルティングサービスとしては、コスト面で見合わないのでサービスを提供できないケースがありました。そこで、外部のネットワークを利用して、そういう人たちに「こういう案件がありますが応募しますか」と募るのです。応募者にプロフィールを送ってもらい、承諾を得たらその企業で働いてもらうというわけです。
自著『SEからコンサルタントになる方法』の紹介
コンサルファームで仕事をしようと思って20年前に入ってはみたけれど、実際にやっていた仕事は、一般的なシステムインテグレーターがやるような仕事でした。ということは、今SEをやっている方はコンサルタントとして活躍できるはずです。
「SEをやっています」という人と交流を持つと「コンサルタントという仕事をしてみたい」「コンサルファームに入ってみたい」といわれることがあります。IT業界というのは7Kといわれます。といっても他の業界でも何Kかは一緒だろうという気もしますが。いずれにしても、皆が嫌がるような業界になってほしくありません。
自分は少なくともSEと同じ仕事をしてきました。それもあって、SEに腐ってほしくないなという気持ちがあるのです。SEからコンサルタントになりたい人にとっての目標になりたいのです。もちろん、世の中で必要とされているコンサルタント像とすべて一致するわけではありませんが、しっかりとメッセージを伝えたいと思って執筆しました。
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