仮想環境へ移行する企業システム、その統合管理をどうする?:JP1 V9 Review(2/2 ページ)
日立が提供するJP1が3年ぶりにバージョンアップした。Version 9で強化されたポイントをレビューする。連載第1回は、主な強化ポイントのまとめと「構成管理」について述べる。
仮想環境の効率的な監視を支援
JP1の統合管理は、システム全体の稼働状況を「見る」モニタリングを構成する製品群である。この統合管理は、システム全体のリソースやサービスの稼働状況を業務視点で一元管理する。また、サーバ構成の管理やシステム上のすべての事象(イベント)の発生をリアルタイムに監視し、障害発生時の原因箇所の特定からその対処までをサポートする製品である。
サーバの高性能化と仮想化技術の進展により、ますますシステムが集約され、集中運用が加速される。その中で統合管理は、仮想環境の対応に加え、多量のイベントをさばけるように性能改善だけにとどまらず、運用性、操作性を刷新した。
仮想環境の構成管理
仮想環境では、構成が複雑なため障害の予兆や障害のイベントはどの仮想サーバに問題があるのか、どの物理サーバに問題があるのかを関連をつけて把握しないと適切な対処が出来ないという課題がある。例えば、CPU利用率が100%と報告された場合、それが仮想マシンに割り当てられたCPU利用率なのか、仮想マシンが搭載されている物理サーバのCPU利用率なのかによって対処方法が変わる。
そこでポイントになるのが、仮想環境の構成管理である。仮想環境のメリットの1つとして、柔軟にシステム構成を変更できることが挙げられる。つまり、論理的な仮想サーバを物理サーバ上で増やしたり、減らしたりすることである。
JP1 V9では、VMwareなどの仮想化ソフトウェアと連携して、仮想環境の構成情報を統合管理に取り込むための機能を追加した。また、取り込んだ仮想環境の構成情報を監視ツリー画面に取り込むこともできるようにした。これらの機能を利用することで、仮想環境であっても監視ツリー画面を素早く正確に作成できるようになり、仮想マシンの増減に対しても、実体と監視画面の不一致を防止できるようになった。
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