業務情報は風前の灯!――出張帰路の安らぎを奪う謎の白い液体:悲しき女子ヘルプデスク物語(4/4 ページ)
わたしにとって出張の楽しみといえば、新幹線内でいただく駅弁。でも時には“思わず目を離せない乗客”に出くわして、駅弁に集中できないこともある。それも仕方ないじゃない。ヘルプデスクという職業柄、気になる出来事もあるんだから――。
どんなことにも教訓はある
わたしが(勝手に)ドキドキし始めてから、どれくらいたっただろう。ついに、その時がやってきた。おじさまの手から、コップが完全に離れたのだ! 「あ!」と小さく声を上げたのもつかの間、コップは正しい姿勢を保ったまま、おじさまの体の横に「すとん」と落ちた。“粘り気のある白い液体”が入っていることが、功を奏したらしい。やれやれ、最悪の事態だけは避けられたよう(期待していた読者の方、すみません……って、これは事実ですからね!)。しかし今度は、別のおせっかい気分が。コップをどけて差し上げたほうがいいかしら、あのまま足でコップを蹴飛ばしたらエライことならないかしら……。でも、おせっかいなくらいじゃないと、ヘルプデスク業務なんて勤まらないのよね。
時間がたつのは早いもの。そうこうしているうちに、到着駅のアナウンスが。おじさまを気にしながらも、下車の準備を始めるわたし。ペットボトルの口がしっかり閉まっていることを確認して、バッグへと放り込む。切符を確認し、荷物棚からキャリーバッグを下ろす。わたしはいつでも降りられる状態になり、新幹線も減速を終えつつあるその瞬間、おじさまが目を覚ました。
良かった。気がかりだったノートPCの無事を確認できた状態で、わたしは新幹線を降りられる。
するとおじさま、あわててコップの白い液体を飲み干した! まさか、おじさまも、ここで降りるの?
そのまさかだった。到着まであとわずか、というこの状態で、あわててノートPCのコンセントを抜き、片付け始めるおじさま。カバンにノートPCを突っ込んでいるのだが、PCの角がどこかに当たっているのだろう。なかなか入らないようだ。再びおじさまから目が離せなくなるわたし。やっとのことでPCを叩き込むと、座席周辺に広げてあったものを引っ掴み、無事にわたしの後からホームに降りられたおじさま。ああ、やれやれ。
画面を広げたまま寝てしまうと、その間にPCが盗まれてしまうこともある。また、開いた画面から重要な情報を盗み見られてしまうこともあるだろう。長時間移動する時はついPCを広げて作業したくなるものだが、情報漏えいに関しては最も注意を払うべきシチュエーションだ。出張帰りにアルコールが入ることもあるだろう。そういう時はノートPCを広げないという意志を持つことも大切じゃないかしら。今回のおじさまは何事もなかったけれど、あの白い液体をこぼしていたら、あるいはもし画面上に流出すると困るデータを表示したままだったら、といろいろと勉強させていただいた。ありがとう、おじさま。
出張時の、自分自身のノートPCの使い方を振り返ると同時に、営業の人たちは出張時、あるいは外出時にどのようにノートPCを使っているのかしら? と気になり始めたわたし。まずは一度、アンケートを取ってみよう。
ところで結局、あの白い液体の正体は、分からないままである。もしこのおじさまがこの記事を読んでいてくださったら、こっそり教えていただけませんか?
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