仮想環境にも役立つ「イベント管理のあるべき姿」:JP1 V9 Review(2/2 ページ)
今回はJP1のVersion 9で強化された、統合管理の「大量イベント管理」に加え、イベントの「フォーマット変更」や「重大度変更」、「メッセージの変換」について取り上げる。
統合管理の「重大度」と、メッセージの「変換」
サーバの高性能化と仮想化技術の進展によりシステムの集約が進むと、管理者が監視しなければいけないメッセージの数も膨大になってしまう。つまり、いかに膨大なメッセージの中から必要なものだけを捉え、迅速かつ的確に対応できるかがポイントとなる。それに備えるためJP1 V9の統合管理は、前頁までで説明した「大量イベント管理」に加え、イベントのフォーマット変更や重大度変更、メッセージの変換についても強化されている。
重大度やメッセージの変換でイベント監視を快適にする
イベントの重大度やメッセージテキストを任意の内容に変更して、メッセージを「見やすく」、「分かりやすく」することで、判断ミスや対応の遅れなどのヒューマンエラーを減らし、重大な障害発生の抑止に役立てる。メッセージをより分かりやすくすることで、重要なメッセージの見逃し、対応が遅れるといったミスを未然に防止することが期待できる。
重大度変換で効果的なイベント監視
「情報」、「デバッグ」、「緊急」など、運用に沿った優先順位に重大度を変更することで、大切な情報だけをすばやく見分けられるようにした。
従来バージョンでは、異なるシステムやアプリケーションごとに統合管理の画面に表示する重大度を変更することはできなかった。だがJP1 V9では、システムやアプリケーションごとに重大度を変更できる。システムなどの重大度に応じた対応ができるので、運用に沿ったシステム管理を行える。
また、メッセージ単位、ホスト単位等で重大度を変更できるので、目的に合わせた、きめ細かい運用ができる。例えば、テスト中のアプリケーションの場合と本番運用中のアプリケーションの場合でエラーの扱いを変えることができる。
メッセージ変換で効率的なイベント監視
JP1 V9で新たに追加したメッセージ変換オプションにより、セントラルコンソールに表示するメッセージのフォーマットを変換したり、シーンに合わせた表示にテキストを変換したりできるようになった。表示するメッセージを「見やすく」、「分かりやすく」変換することで、オペレーターによる判断ミスや対応の遅れなどのヒューマンエラーを減らし、重大な障害発生の抑止に役立てられる。
メッセージテキストの日付や時刻表示位置を揃える
システムごとに異なるメッセージフォーマットを、任意のフォーマットに統一できる。例えば、メッセージテキストの日付や時刻表示位置を揃えてメッセージを見やすくすることで、運用オペレーターの負荷が軽減される。
シーンに応じてメッセージテキストを変更
「本番環境と開発環境」や「昼間と夜間」など、シーンに合わせてメッセージを変更したり、英語のメッセージを日本語に置き換えたりすることで、運用オペレーターの負荷を軽減する(これは翻訳機能ではなく、メッセージ置換によって実現している)。さらに、変換前のオリジナルメッセージも格納されているため、変換前のメッセージを参照して保守や障害調査に役立てられるよう、配慮されている。
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