記者クラブという降り積もった塵をネットメディアは掃除できるか:ネットの逆流(22)(2/2 ページ)
ついに政権交代が実現した。しかし、当初実施されるとみられた「記者クラブ」の開放が成らなかったことに批判が寄せられている。記者クラブには国民の税金も投入されている。「徹底的に無駄を省く」とする中で、民主党はこの問題にどう対処するのか。
鳩山政権樹立から今日までに、これまでとは違った形の動きがあった。それでも記者クラブの壁は厚かったのかもしれない。しかし、記者クラブは国民の税金も投入されているのだ。「徹底的に無駄を省く」という鳩山政権としては、ぜひ取り組んでもらいたい課題の1つだ。
まずは、この事実をネットメディアが積極的に報じ、その問題点を明らかにしながら世論を喚起していくことが必要だろう。Twitter議員をはじめとして、ネットを活用している人も多くいるので、それらの声も無視できなくなってくるに違いない。
また、今回ネットメディアが排除されるには、既存メディア側からの圧力があったとも聞く。ネットメディアが参加できれば、既存メディアよりも早くネット上に情報が流れると思う。だが、既存メディアにはこれまで日本をリードしてきたノウハウと自信があるはずだ。開放を恐れているとすれば、既存メディアが自らの質が落ちているということを認めることになるのではないか。
だが、自称記者のブロガーまで入れる必要はないだろう。もちろん、欧米のように記者証制度を取り入れて、ブロガーでもそれなりの実績を上げている人には記者証を付与すれば、こういった問題は解決するかもしれない。
しかし、制度改革には時間がかかる。まずは、門戸を広げた上で事前登録制にし、記者クラブ制度を有名無実なものにしていく必要があるだろう。そして、税金投入をやめることで、財源問題もクリアされていくかもしれないではないか。
これまで記者クラブとほとんど縁のなかったネットメディア、フリーランス記者は、ただこのことをたたくのではなく、鳩山政権が記者クラブ開放を実現できるようにするために、手助けをしていきたいものだ。
「日本の大掃除、世直しをしたい」――鳩山首相が代表就任時に語った言葉だが、まずは記者クラブ問題から、塵を払ってほしいものだと願わずにはいられない。
関連記事
- ネットの逆流(21):500億円のSNS市場を制するのはどこか
「mixiアプリ」を正式公開したmixiからβ表記が外れた。GREEが絶好調である一方、「ゆびとま」は機能限定で再開中だ。SNS市場を制するのはいったいどこか。 - ネットの逆流(20):Twitterとマスメディアは連携できるか
朝日新聞社など、マスメディアによるTwitterが始まった。政治家による国会中継も行われた。果たしてTwitterは新たなメディアの発信源になるのか。マスメディアはTwitterをいかにして使うべきなのだろうか。 - ネットの逆流(19):改正薬事法で得をしたのはいったい誰なのか
6月1日に施行される改正薬事法で、医薬品の販売が変わった。はたして、これでよかったのだろうか。いま一度考え直してみたい。 - ネットの逆流(18):あなたのブログは誰のものか
ブログサービス「Doblog」が2カ月半のサービス停止の後、終了をアナウンスした。Web上でサービスを提供する企業として、この対応は果たして正しかったのだろうか。 - ネットの逆流(17):Twitterの“つぶやき”はプロモーションになり得るのか
デルが販売促進キャンペーンとして使い出すなど、企業のプロモーションとしてTwitterが使われ出している。つぶやきは有効なプロモーションになるだろうか。 - ネットの逆流(16):狙われた“つぶやき”――Twitterに仕掛けられたワナ
Twitterのつぶやきが狙われた。しかし、これは氷山の一角かもしれない。それだけ拡大したTwitterは、これからどのような方向に進んでいくのだろうか。 - ネットの逆流(15):IE 8の登場でブラウザ戦争は新たな局面に
3月19日、IE 8正式版のダウンロードが開始された。IE、Firefox、Opera、Safari、Google Chrome……ブラウザ戦争は新たな局面に進もうとしているのだろうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.