DBアップグレードは難しくない――Oracleの達人に聞く:クラウド時代のデータベース新潮流(3/3 ページ)
システム移行プロジェクトで困難なのがDBの移行だ。業務停止時間の長さや互換性リスクなどに不安もある。だが綿密に準備すればあまり問題はないという。Oracle DBのプロフェッショナルに極意を聞いた。
運用の効率化、DBのあるべき姿を目指して
移行を通じて得られるメリットは少なくない。システム移行は、しばしばにハードウェア更新と同時に行われるものだ。ハードウェアは一新され、性能や信頼性の向上、あるいは同様のパフォーマンスでコスト削減が期待できよう。そしてDBのアップグレードを行えば、新たに追加された機能を使えるようになり、運用効率の向上などが期待できる。
「例えばメンテナンス時間の短縮。パッチ適用に伴う停止時間に数時間を要していたのが、バージョンアップによって10〜20分になったという例も少なくない。これは、バージョンアップの際にDataGuardのロジカルスタンバイ構成としておくことで実現する。パッチを適用する際、まず待機DBで先に実施し、次いでそれを本番用に切り替えて、次いで本番DBだった側に実施するという作業手順が可能になるのだ」(池田氏)
また、最新のOracle DBであればグリッド化することでも恩恵が得られる。初期投資を低く抑えつつも、将来的な拡張性を確保することができるというわけだ。
これまでは、将来の拡張性を考慮して、16CPU対応サーバに4CPUだけ搭載してスタートする、といったケースも少なからずあった。これでは初期投資が高くなってしまう。Oracle DBのグリッドインフラストラクチャは、Oracle 11gになって、かなり実用レベルになってきている。
昨今、顧客が強く求めているのはITのコスト削減だが、グリッドインフラストラクチャの適用により、必要なときに必要なハードウェアリソースを使えるような環境が期待できる。池田氏は、Oracle 11g R2のリリースによって「初期バージョン忌避」だった顧客も、いよいよOracle 11gを本格的に検討し始めるかもしれない」と話している。
さらに、富士通北陸システムズでは、Oracle DBのさまざまな機能を活用したDBソリューションを提案している。例えば、この7月から提供している「ILMソリューション for Oracle」は、Oracle 11gの圧縮機能やパーティーショニング機能によって、データ管理コストを削減させるというものだ。ILMといえばInformation Lifecycle Managementの略であり、データの利用度に応じて階層化して管理するという考え方。このソリューションでは、利用頻度の低くなったデータを低コストなディスクに移行したり、圧縮するなどして、全体のコストを下げることができる。そのために必要な機能が、Oracle 11gで提供されたというわけである。
「現状のままでいいと思っているユーザーも多いかもしれない。当社の案件の中でも、ハードウェアを入れ替えたものの、Oracle 9iのままで使い続けたいとする顧客もいる。しかし、移行によって得られるメリットは少なくない。むしろわれわれは、新バージョンにアップグレードすることで、新しい世界が見える。移行することによって、DBの“あるべき姿”へ近づけていけるのだ。それを実現するソリューションを、今後も日本オラクルと共同で開発していきたい」(池田氏)
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