米Oracleによる買収に懸念? MySQLの利用者が減少傾向に
OracleのSun買収による「MySQL」への影響、利用者の意識などを調べた報告書が米The 451 Groupから発表された。MySQL利用者の減少が予想される一方、「PostgreSQL」「MariaDB」などの利用が増加するという。
調査会社の米The 451 Groupは米国時間の12月4日、米Oracleが4月に発表した米Sun Microsystemsの買収計画による「MySQL」への影響、利用者の意識などを調べた報告書を発表した。MySQL利用者の減少が予想される一方、「PostgreSQL」「MariaDB」などの利用が増加するとまとめている。
この調査は451 Groupのオープンソースコミュニティーネットワーク「CAOS」のメンバー347人を対象に、データベースの利用状況やOracleの買収計画について聞いたもの。
回答者のうち82.1%が「現在MySQLを利用中」と回答したが、2011年にはこの数値は78.7%、2014年には72.3%と減少する予想という。一方、MySQLのフォークであるMariaDBは現在0%だが、2011年には3.5%、2014年には3.7%が導入する予想という。また、オープンソースのORDBMS「PostgreSQL」は現在27.1%から2011年に30.5%と利用者を増やし、2014年も同じレベルを維持すると予想している。
「Oracleに買収された場合、MySQLを使わないだろう」とする人は全体の15%、MySQLユーザーの14.4%を占めたことから、451 GroupではMySQLのユーザー数減少の要因の1つとしてOracle買収がある、とまとめている。その一方で、「今後も適切であればMySQLを利用する」は全体の57.9%、MySQLユーザーの63.9%と大多数を占めた。なお、Oracleデータベースの利用は現在の19.3%から2011年には19.6%、2014年には21.6%に拡大するとみている。
欧州委員会(EC)が調査中のOracleによるMySQL取得については、「EUはMySQL取得を認可すべき」と回答した人は、全体では17.6%、MySQLユーザーでは16.8%となった。「Oracleは独立機関にMySQLを移管すべき」は、全体の32.6%、MySQLユーザーの34%に上った。
全体の13.8%、MySQLユーザーの12.3%が「MySQLの今後は関係ない」と回答した。「OracleはMySQLをほかのベンダーに売却すべき」は、全体の4.3%、MySQLユーザーの3.9%にとどまった。
関連記事
- OracleのMySQL取得に対し、ストールマン氏や創業者が反対意見を表明
米Oracleによる米Sun Microsystems買収が「MySQL」に与える影響について、リチャード・ストールマン氏は、2つのNPOと共同で執筆した公開書簡を発表した。欧州委員会の競争政策担当委員にあてたもので、「買収を承認すべきではない」と助言している。 - OracleのSun買収、MySQLコミュニティーの反応は?
MySQL Conferenceの最終日、参加者に「MySQLにとってOracleは吉か凶か?」という質問を投げ掛けた。彼らの答えは「絶対に凶だ」というものから「MySQLにとって大いにプラスになる」までさまざまだった。 - OracleのSun買収に関し欧州委員会がさらなる調査を開始
欧州委員会がOracleのSun買収に関し、90日間の調査を実施すると発表した。「この夏にも完了」としていた同買収に「待った」がかかったことになる。 - OracleはSunの輝きを永久に奪う
OracleによるSunの買収は、とりわけオープンソースコミュニティーにとって悲しい出来事だ。Oracleがうるさい競合製品のMySQLを生かし続ける理由はない。
関連リンク
Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.