プロセス分割モデルを取り入れた「WebKit2」登場
プロセス分割モデルをフレームワークレベルで実装したWebブラウザエンジン「WebKit2」がAppleのWebKit Open Source Projectから発表された。WebKitとの互換性は失われるが、安定性の向上や高速化などの恩恵が受けられそうだ。
米AppleのWebKit Open Source Projectは4月8日、オープンソースのWebブラウザエンジン「WebKit2」を発表した。JavaScriptの実行やHTMLのパース、レイアウトなどを個別のプロセスで実行する「split process model」をサポートしているのが特徴。
WebKitはKDEコミュニティーで開発されていたHTMLレンダリングエンジン「KHTML」をベースにAppleが拡張を加えたもので、AppleのSafariやGoogle Chrome、フィンランドNokiaのスマートフォン「S60」向けWebブラウザなどで利用されている。
WebKit2ではJavaScriptやHTML、各種要素のレイアウトといったWebコンテンツ関連処理をアプリケーションUIから独立したプロセスで実行する。そのため、HTMLのレンダリングやプラグインの実行時に問題が発生した場合でもWebブラウザ全体には支障がおよばないという。これはGoogle Chromeで行われているアプローチに近いが、フレームワークレベルで実装されているため、WebKitを採用するすべてのWebブラウザで利用できる点が異なる。
WebKit2ではWebKitから大幅にAPIの仕様が変更されており、互換性が失われている。そのため「WebKit2」という新たな名称を採用し、従来のWebKitとは区別できるようにしているとのこと。
WebKit2の対応OSはMac OS XとWindowsで、CベースのノンブロッキングAPIをベースに、Mac OS X向けにはそれをラップしたObjective-C APIを提供する。ライセンスはWebKitと同じくLGPLおよびBSDライセンス。開発チームは現在、WebKit2は初期技術段階であり、運用レベルではないと注意している。
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