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販売店情報のリアルタイム見える化を実現し、経営指針に反映――毎日新聞社導入事例(2/2 ページ)

毎日新聞社の創業は、その前身となる東京日日新聞が創刊された明治5年(1872年)。3年後の明治8年(1875年)には、世界初となる新聞の個別配達を開始。それから約135年間、新聞宅配の制度は、われわれの生活の一部として定着している。しかし今、新聞業界にも大きな変革の波が押し寄せようとしている。毎日新聞社が、5つの本社と全国の新聞販売店のやりとりを管理する販売管理システムの刷新を決断したのも、こうした厳しい環境変化に対応するためだった。

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ホストコンピュータからの完全脱却と販売店情報のリアルタイムな把握に成功

 新システムの成果は、徐々に現れ始めていると、岩木氏は次のように語る。

 「全国には販売店のエリアが116あります。それぞれのエリアを営業担当員が担当し、エリア内の販売店の補助金や奨励金などを管理しています。システム導入前は、営業担当者が各販売店を回って情報を集め、紙にまとめた上で、そのデータを技術部門がホストコンピュータに入力していました。新システム導入後は、営業担当者がシステムにデータを直接入力するようになりました。その結果、これまでは1〜1.5カ月経たなければ分からなかった販売店の情報が、ほぼリアルタイムで確認できるようになりました」(岩木氏)

 また、ホストコンピュータが完全になくなったことで、運用・管理面の負担が大幅に軽減されたと、西村氏は強調する。

 「これまでは、東京本社ビルの五階にホストコンピュータのためのマシンルームがありましたが、現在はその空きスペースの有効利用を検討中です。また、ホストコンピュータの運用・管理に必要だったリソースが不要になり、これはコスト削減という意味では非常に大きいと思います」(西村氏)

 販売店の情報がリアルタイムで入ってくるようになったため、最終的に請求書を作成・印刷・発送するプロセスも大幅に効率化された。具体的には、システム側で請求書のPDFまでを作成し、それ以降の印刷・封かんの処理をアウトソースすることに成功したのである。

 販売店の情報がほぼリアルタイムでつかめるようになったことで、今後は、把握したデータをどう生かすかが求められていると、関係者は口を揃える。実際に、今回のシステムには、あらかじめBIツールが組み込まれている。その意図について、西村は次のように説明する。

 「今後は、システムに求められるものも変わっていくと思います。今回のシステムにBIツールを組み込んだのも、そのためです。ただ単に販売管理を行うだけでなく、BIツールを使いこなし、蓄積されたデータを分析して、経営に役立つ情報を引き出していく必要があると思います」(西村氏)

 新聞業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、まずは、無駄なぜい肉をそぎ落とし、筋肉質なカラダへと体質改善することが求められていると言えよう。今回の販売管理システムは、まさにその土台となるものだ。この土台の上に繰り出される次の一手が何か、毎日新聞社の今後に注目したい。

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