フェアユースがもたらす売り上げ、米国だけで4兆7000億ドル――業界団体調査
MP3プレーヤーメーカーやWeb検索エンジンなど、フェアユースの恩恵を受ける産業は、米国のGDPの6分の1を占める規模になっているという。
著作物を一定条件下で許諾を得ずに利用できる「フェアユース」は大きな経済的効果を生み出しており、2007年に米国だけで4兆7000億ドルの売り上げをもたらした。IT業界団体が4月27日、このような調査報告書を発表した。
この調査は国際的な非営利団体Computer & Communications Industry Association(CCIA)が政府やWIPO(世界知的所有権機関)のデータを基に行ったもの。MP3プレーヤーなど個人が著作物を複製できる家電製品のメーカー、教育機関、ソフトデベロッパー、Web検索エンジン、Webホスティング企業をなどをフェアユースの恩恵を受ける産業とし、その経済規模を算出している。
調査によると、米国の「フェアユース経済」は2002年の3兆4000億ドル規模から、2007年には4兆7000億ドルへと36%成長した。米国のGDP(国内総生産)の6分の1を占める規模という。この期間に特に伸びたのは、インターネット出版・放送、Web検索、電子機器の販売・オークション、投資関連だった。
またこの期間に、米国のフェアユース関連産業の雇用者数は1690万人から1750万人に増加、米国の労働者の8人に1人を占めている。
CCIAは、フェアユースは著作権法の重要な規定であり、デジタル経済の台頭とともにその重要性は増していると述べている。「フェアユースは、多くのハイテク企業にとって不可欠な幅広い活動を認めるものであり、インターネット経済の重要な基盤だ」
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