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グローバルサイトの運用 体制とルール決め世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/3 ページ)

グローバルサイトの運営には、本社と現地法人の意思疎通が不可欠だ。「運営の主体」「Webガバナンス」「監視機能」という3つの観点から、サイト運営の最適解を考える。

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Webガバナンスの統制

 グローバルサイトを複数の人や部署が運営していくと、次第にデザインやコンテンツの品質、サイト運用のインフラがばらばらになってくる。これが続くと、各事業部が運営するグローバルサイトの一貫性が失われ、統一的なブランド訴求ができなくなる。

 これを解消するのが、グローバルサイトを統括管理し、一元的に運営する「Webガバナンス」の整備だ。具体的には、設定したガバナンス戦略に沿って、グローバルサイト運営のガイドラインを明らかにしルール化することだ。テンプレートやCMS(コンテンツ管理システム)などのツールを導入すると一層効果的だ。

 ガイドラインの整備には、まず担当者の暗黙知となっている知識の文書化から始めたい。デザインやHTMLの作成、表記ルールなどを明示化することで、各部署のグローバルサイトに一貫性が備わる。現地法人用には、ガイドラインを英語または現地語に翻訳したうえで、口頭での説明の場も設けるのがいいだろう。

どこまで共通化するか、自由裁量を許すのか

 本社主導でブランドコントロールを強めると、グローバルサイトに統一感が出る。だがここで注意が必要なのは、本社によるWebガバナンスの整備が、現地市場の実情に即していない場合だ。

 こんな実例がある。ある外資系企業の日本法人は、グローバルサイトに商品紹介ページを持っていた。だが、紹介ページには本社が作成したコンテンツの翻訳版しか掲載が許されておらず、更新作業も本社が直轄していた。

 当時、同社の日本市場での売れ筋は、一世代前の商品だった。だが本社の目は新商品に向いている。結果として、グローバルサイトの旧商品紹介ページはほとんど存在しなかった。困惑した日本法人は、制作権限のあるイベント情報ページに旧商品の紹介ページを作ったという。

 これは明らかにおかしい処置である。旧商品の紹介ページは本来、商品ページにあるべきだが、本社の承認がないと、このような「おきて破り」が出てきてしまう。Webガバナンスの観点から見ても、本社側が地域ニーズへの対応を進めておくことが重要だ。

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