FileMakerでワークフローを自動化した六本木のクリエイティブカンパニー:導入事例(2/2 ページ)
いったん作った業務システムは、ある程度の期間はそのまま使い続ける、というのが一般的だ。しかし、ユーザー自身が使いながらシステムを改善し続けられるようなシステム基盤であれば、継続的に業務効率改善を進められる。導入から数年、ユーザーによりカイゼンし続けられたシステムを紹介しよう。
使いながら改良を加え、システムの使い勝手を向上していく
カレンダー申込管理システムの稼働後も、システムの改良は続けられている。例えば、カレンダー納品先の個別対応が可能になった。もともと、まとめて販売会社へ納品し、販売会社から各販売店に届ける流れを基本としていたが、最近では販売店へ直接納品するケースも出てきている。これに、システム上でも対応できるようにしたのだ。
アクシスの社内でも、カレンダー事業担当者が日常的に改良を加えているという。カレンダー事業では企画立案、絵柄の決定、素材の発注、制作など、年間を通したスケジュールがあり、アクシスでは専任の担当者を、複数置いている。その歴代の担当者が、少しずつシステムの使い勝手を向上させているのだという。
営業企画グループでカレンダー制作の事務局を務める辻村亮子氏も、その1人だ。1年ほど前から担当になり、数年間に渡って熟成されてきたシステムを引き継いだ辻村氏は、FileMakerの利点を、次のように評価している。
「正直なところ、わたしは、FileMakerに熟練したユーザーではありませんでした。でも前任者や、そのまた前任者が、カレンダー申込管理システムを使いこなし、少しずつ改善してきたため、無理なく引き継げたのです。FileMakerのフレキシビリティはすごい。今ではわたしも、現状の業務に合うよう、そして少しでも使いやすくなるように、変更を加えられるようになりました」(辻村氏)
アクシスでは現在、カレンダーシステムのほか、プロジェクトマネジメントや請求書管理、交通費精算などにもFileMakerを活用している。これらのシステムにおいても、同様に日常的な改良が加えられ、業務効率向上を図っているという。
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