「JP1/PFM」と「JP1/AJS3」の連携で、システム稼働状況とジョブ運用を統合的に分析:【事例】プロアクティブに運用管理を強化
西部ガスグループのシス・コンピューティングは、ITサービスのさらなるレベルアップを目指し、日立の統合システム運用管理製品を導入した。ジョブ管理製品との連携で、システム稼働状況とジョブ運用を統合的に測定・分析する仕組みを構築。性能管理システムとジョブ管理システムの自動的な連携に向けて大きな一歩を踏み出した。
社会的ライフラインを支えるために、ITILベースの運用管理体制を構築
西部ガスグループのIT戦略を担う西部ガス情報システムから、2000年にシステム運用部門を分離・独立して設立されたのが、シス・コンピューティングだ。
「社会的ライフラインであるガスの供給を支えるミッションクリティカルなシステムを運用してきた当社は、ITもまた社会的ライフラインであると考えて、安定したITサービスの継続を追求してきました」と秋山氏は語る。同社はシステム運用の品質をさらに高めるため、「ISO/IEC 27001」認証の取得に続いて、「ISO/IEC 20000」認証を取得し、ITILベースの運用管理体制を構築した。
「ISO/IEC 20000の導入により、運用管理の目的は『サービス』であるという概念を社内に浸透させることができました。『サービス』の概念を基本にすることで、各自が効率的にシステム運用の品質を上げようと考えるようになったのです」(秋山氏)
また、同社はオープンシステム環境において、メインフレームと同等のバッチジョブの安定運用を目指して、日立製作所の統合システム運用管理「JP1」のジョブ管理製品「JP1/AJS2」を導入。さらに、運用情報印刷オプション「JP1/AJS2 - PO」を活用して、改善した指示書とオペレータの監視によって、バッチジョブの遅延監視を実施。バッチジョブの平均開始時刻と平均終了時刻を予測して、その予測を超えた場合には、問題につながる予兆としてデータベース化し、インシデント管理のプロセスへ連携させてきた。
ITサービスをレベルアップするために「JP1/PFM」を導入
ITIL導入により標準化のレベルを達成した次の課題は、COBITの成熟度レベル4を目指したITサービスを提供することだ。つまり、品質基準(サービスレベル)を明確にし、定量化、評価、改善するPDCAサイクルを回し、さらなるサービスのレベルアップを図っていくことである。そこで必要となるのが、システムの性能管理である。
アベイラビリティ管理製品「JP1/PFM」を選定したのは、しきい値の超過通知による障害予兆の早期発見など稼働状況の監視、ボトルネック解析の強化、性能データの長期分析などの充実に加えて、すでに導入しているJP1/AJS2と連携し、システム稼働状況とジョブ運用を統合的に測定・分析する仕組みを容易に構築できるからである。
「メインフレームと同等のバッチジョブの安定運用を目指し、ジョブ運用を測定・分析する仕組みを構築することが重要なテーマでした。現在のジョブ運用が最適であるかどうかを可視化し、測定・分析して、障害が発生する前に対策を講じていきたい。そのためには、性能管理システムとジョブ管理システムを連携させて、ジョブに遅延が起きた瞬間のCPU使用率を含めた各リソースの使用状況を総合的に把握できる体制を作っておかなければなりません」(秋山氏)
サーバにエージェントをインストールせずに、エージェントレスで監視ができるのもJP1/PFM選定のポイントだった。
「エージェント監視とエージェントレス監視を適材適所で適用していくことで、性能管理も、システムの重要度やコストバランスに応じて、メリハリのきいた効率的な運用ができるのです」(秋山氏)
さらに、JP1の販売とサポートを担当するアシストの的確なサポートも評価された。
「アシストの対応が的確だったからこそ、JP1/PFMを計画通りに導入できました。『サービス』という概念の基での意識改革や若手育成も、今回のプロジェクトの重要なテーマであるということをきちんと理解して、資料や会議の進め方などまで、きめ細かく工夫してくれました」(秋山氏)
「JP1/PFM」をさらに活用し、キャパシティ分析を強化
同社はJP1/PFMをさらに活用し、システムのボトルネックの監視・分析やトレンド分析・予測などのキャパシティ分析を強化。サーバの増強や新規導入の際に、実績データの分析結果を利用して、より的確なサイジングを行う予定である。
長期的なキャパシティプランニングにも取り組んでいる。システム利用開始時からリソース情報を把握し、システム拡張とデータ件数増加に伴う変化を定期的に捉え、最適な資源を確保しつつ品質基準を達成して、最終的にはコスト削減に生かしていきたいと考えている。
従来からの夜間バッチ処理などの実績報告と障害報告に加えて、性能管理レポートも定期報告できるようになった。このほか、ジョブの遅延を指摘されれば、JP1/PFMに蓄積されたデータを見ることで、遅延の原因を「想定」してスピーディに返事ができるようになった。
「JP1/AJS3」にバージョンアップして「JP1/PFM」との連携を強化
同社はバッチ処理時間の短縮やスケーラビリティの向上、作業負荷の軽減などを目的として、最新版「JP1/AJS3」へのバージョンアップを実施。2010年7月、アシストとの協力体制の下、バージョンアップを完了し、ジョブ運用の信頼性の向上や内部統制の強化などを実現した。
「JP1/AJS3は、個々のジョブ実行環境を分離して多重化することで、バッチ処理時間を短縮できるのが大きな特長です。ジョブ管理のスケーラビリティを高めて、信頼性も強化することができます」(秋山氏)
JP1/AJS3を導入し、性能管理システムとジョブ管理システムの自動的な連携に向けて大きな一歩を踏み出した。現在は、JP1/AJS3とJP1/PFMの連携を強化し、実績データを自動的に収集できるようになったので、さらに効果的な予兆管理を少ない工数で行っていく方針だ。
「JP1による改善を通して、社員のレベルアップも図っていきます。社員とシステムとJP1が一体となった仕組み作りが、成功のための大きなポイントです。また、お客さまへの積極的な改善提案をしていくためにも、JP1を活用して、三位一体の改革をさらに推進していきたい。このように、JP1は運用担当者の存在価値を高める道具でもあるのです」(秋山氏)
シス・コンピューティングのITサービスのさらなるブラッシュアップへのチャレンジを、今後もJP1が支えていく。
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