企業競争力強化のカギは最新テクノロジーの活用にあり――日本IBM薮下氏:システム事業の2011年度事業方針を説明
日本IBMのシステム事業部が2011年度の事業方針を説明。ユーザー企業に対し、最新テクノロジーのいち早い活用こそが、競争力強化の礎であると伝えていくという。
「IBMはサービスカンパニーを指向している。だがコンピュータメーカーとしてのDNAは、決して失われていない」――日本IBMでシステム製品事業(主にサーバ、ストレージなどのハードウェア分野)を統括する薮下真平 専務執行役員の言葉である。
実際のところ、2010年はIBMにとって、32MバイトのeDRAMを3次キャッシュとして組み込んだPOWER 7プロセッサ搭載サーバをリリースしたり、IAサーバにおけるメモリ搭載量を拡大することで(特に仮想化環境における)CPU使用率を最適化できるeX5アーキテクチャを発表したりするなど、コモディティ化の進むハードウェア分野においてもその独自性を打ち出した年となった。「2000年から2009年にかけて、IBMはR&Dに5兆6000億円にのぼる投資を行った。今年の技術的イノベーションは、その成果でもある」と薮下氏は話す。
また薮下氏は、「現在、ユーザー環境では、文字通りの“データ爆発”が起こっている。企業は増大する情報にほんろうされるのではなく、使いこなすことで競争力を高めることが必要だ。そのことがひいては、(IBMのメッセージでもある)“スマータープラネット”にもつながるだろう」と指摘する。
薮下氏によってシステム製品事業における2011年度の事業方針として掲げられたのは、「日本企業の国際競争力強化のために、(IBMの)テクノロジーを活用してもらう」という内容である。欧米や新興諸国と比較した場合、日本企業が新しいテクノロジーを導入するスピードとしては、「2年は遅いのではないか」と薮下氏は指摘する。最新のプロダクトやテクノロジーこそが、各社しのぎを削って市場投入した最高のコストパフォーマンスを持つものであり、欧米や新興諸国の成長企業はいち早くそれらを導入して、自社の競争力を高めているというのが、薮下氏の主張である。
「日本企業においては、レガシーシステムの残存率が極端に高い。最新のテクノロジーをもっと経営に活用してもらえるよう、提案をしていきたい」と話す薮下氏が、事業方針のもと実現していく施策として挙げるのが、「ソリューションとしてのインフラの提案」や「テクノロジー活用による競争力強化の喚起」である。
前者については、コンサルテーション部門の強化とそれに伴うユーザーのプライベートクラウド環境構築支援や、データセンターのTCO最適化を図るものであり、後者は、国際的な知見がフィードバックされた(IBMの)製品やテクノロジーをいち早く活用することで経営の意思決定を迅速化するマーケティング(啓蒙)活動の強化や、(他社のレガシー)ソリューションからの移行支援などを意味するものだという。
「現場だけでなく、IBMのマネジメント層も、ユーザーの課題解決や最適化についてスキルトレーニングを受けている。来年度も引き続き、その成果を提供していきたい」(薮下氏)
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