“オールジャパン”体制で中小企業を支援:中小企業の活力を高めるIT活用の潮流(2/2 ページ)
産官が一丸となり、日本のIT産業を真剣に考えていく時期に差しかかっている。ITコーディネータ協会もこの潮流を中小企業支援に活用していく。
横のつながりを強化せよ
そうした中、高橋氏が提言するのが「オールジャパン」体制による取り組みである。これまでも中堅・中小企業のIT化に対してさまざまな施策がとられてきたが、多くは縦割り行政によるもので予算の継続性も低かった。しかし、国内でクラウドサービスの普及を図るために昨年12月に設立された「ジャパン・クラウド・コンソーシアム」は、総務省と経済産業省が支援しており、さらに省庁同士の横のつながりができる機運も出ている。さらに多くの官公庁、関連団体が連携していくような取り組みを期待すると高橋氏は述べる。
オールジャパン体制は民間企業にも当てはまる。中堅・中小企業をテーマに、さまざまな企業が集いコンソーシアムを立ち上げて、人材育成などの支援をしていくとともに、継続的に投資を行うことが望ましいという。「中小企業の支援は決して官だけの役割ではない」と高橋氏は強調する。
「ITC協会も強い当事者意識を持って、ほかの機関との連携を深め、成果を上げられるような政策や仕組みを政府や企業に積極提案していく」(高橋氏)
クラウドの本格化はこれから
なお現在、企業のIT導入においては、コスト抑制や業務効率化を目的にSaaSやクラウドコンピューティング、仮想化などが注目を集めている。中堅・中小企業においても、これらの最新技術を活用して成果を上げている企業は存在する。しかしながら、現状、ITコーディネータの支援は、ブログ、Twitter、Webサイト構築などマーケティング施策としてのIT活用が先行している。
「今後、SaaSやクラウドを活用するメリットを、中堅・中小企業に分かりやすい形で提示していくこともITC協会の大きな役割なのである」(高橋氏)
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